第95話 バスの中

「楽しみですね〜!ね〜みやび君?」


「そうだな」


俺たちはバスに乗り、今から遠足が始まろうとしている。


「現地に着くまでは後4時間か...」


「みやび君、眠たそうですね寝てもいいですよ?」


「ん?別に俺は眠くな...」


「眠いですよね?ほら、私の肩を枕にでもしてください!」


美央はそう言って俺の頭を自分の肩に寄せる。


「お、おいみお⁉︎」


「ほら、私に身を委ねてください!優しくしてあげますから?ね?」


「どういうことだよ...」


何を優しくするんだ...


「とにかく!!!早く私に引っ付いてください!早くみやび君の温もりを感じたいです!!!」


「こ、こら!みお!声大きいしやめろ!」


そんな感じでしばらく俺と美央はしばらく揉め合っていた...のだが


「どうしてこうなった...」


俺は隣で俺の肩にもたれかかり、すやすやと可愛い寝息をたてる美央を見る。


「くっ...」


美央は黙っていればすごく美人だ。

長いまつ毛にシュッとした鼻筋、そして可愛くぷっくりとした唇。

って俺は何を意識して見てるんだ...


「むぅん、みゃーび君...」


「っ⁉︎」


美央は寝返りなのか、体勢を変え俺の腕に抱きついてくる。

すると、その柔らかい胸が押し当てられ、美央のいい匂いが鼻腔をくすぐる。

本当は起きてるんじゃないか...


「んん...はぅ...」


「はっ⁉︎」


更に美央はそこから崩れ落ち、俺のちょうど股の間に美央の顔がくる。

そして、美央が息をするたびに股の辺りがムズムズしてくる。

ってこれは流石におかしくないか?

俺は膝の上...股の辺りに顔を埋めている美央を見る。


「あ〜、みおってホント可愛いなぁ〜早く起きて可愛い顔見たいな〜」


「はい!起きました!!」


「だろうな!!」


予想通り美央は寝たふりをしていただけだった。


「みやび君!可愛い私が起きましたよ!」


美央は期待の色をキラキラさせた目で俺を見る。


「ほらほら!早く私を愛でてください!」


「...おやすみ」


俺は流石に疲れたので目を瞑る。


「も〜!みやび君!そんなことするんだったらこっちからイタズラしちゃいますよ!ちゅっ!」


「っ⁉︎」


突然、俺の口の中に何か入ってくる。

すると、俺の体に快感が走る。

おそらくキスをされ、舌まで入れられた。


「み、みお⁉︎」


最近の美央は過激すぎる。

流石に俺も何度もされたら保つものも保たない。


「どうしました?構ってくれないなら私からやっちゃいます!」


「わ、わかったから、落ち着いてくれ!」


本当にさっきから視線が痛い、周りの男子が俺に殺意むき出しで俺を睨みつけてくる。


「じゃあ私を愛でてください!」


「うぅ...わかったよ...」


俺は美央の頭に手を置く。


「それじゃ足りません!もう少し何かして頂かないと...」


「わ、わかったよ!」


流石にこれ以上騒がれたら俺のこのクラスでの地位が底辺まで落ちる。

まあ既に男子からは目の敵にされてそうだが...


「ほ、ほら、みお?いい子だ...」


俺は美央を抱き寄せ、頭を撫でながら子供をあやすように言う。


「はぁ...最高の気分です...これがみやび君の彼女になった気分なんですね...」


「なっ!何を言ってるんだよみお...」


美央は満足そうに俺にもたれる。

それはバスが目的地に着くまでやらされ、おそらくバスの中で俺のクラスでの地位は底まで着いてしまっただろう。

しかし...


(くそ...胸がドキドキしてる...早く収めないと...)

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