第90話 新学期
「またみやびと隣の席がいいなぁ〜」
遥は願うようにつぶやく。
俺たちは今から高校2年にあがる式をしに行く。
「そうだな」
「私はみやび君の後ろで授業中にイタズラとかしてみたいですね〜!」
「おいおい...」
美央なら過激なイタズラをやりかねないのでそれだけはならないように祈っておく。
「学校長のーーーー」
校長の長い話など聞く気にもならない。
俺たちは聞いているふりをし、それぞれ新しい教室へ向かう。
遥たちとは途中で会えず、俺は1人で教室へ向かっていると、
「あ!みやびせんぱーい!」
後ろから俺のことを呼ぶ声が聞こえる。
ん?先輩?
俺はまだ2年に上がったばかりのため、名前も知らないはずの俺を先輩と呼ぶような人はそうそういないはずだ。
「みやび先輩!お久しぶりです!」
俺は振り返ると、そこにはオレンジが掛かった髪を後ろで結びポニーテールをぴょんぴょんと跳ねさせながら、なにやら可愛い子が走ってくる。
「お前は...確か」
俺は自分の記憶を辿る。
すると、1人の人物が浮かび上がった。
「なつきか?」
青山夏希(あおやまなつき)それが彼女の名前だ。
身長は俺より少し下あたりで、クリッとした目に鼻筋はしゅっとして、とても可愛い容姿をしている。
彼女とは小学校の時、部活が陸上部で一緒であり中学に上がると彼女も同じ中学に入ってきたので、たまに部活を見てやっていた。
そして1番印象に残っているのは、彼女はあざとい仕草でとても男からの評判が良かったということだ。
自覚しているのか知らないが、彼女は汗だくで服が透けているのを気にせずに陸上部の男子に話しかけたりするので、それを目当てに陸上部に入部する人もいたくらいだ。
「お久しぶりですね!先輩!」
「ああ、そうだな」
「私、陸上部入るんでまた教えてくださいね!...そういえばみやび先輩は陸上は...」
「中学の時と同じでやってないよ、でもたまになら教えるよ、まあ今は色々あるからあまり教えられないかもしれないけどな」
夏希は俺が陸上をやっているのか期待していたみたいだが、俺は陸上に戻るつもりはない。
「?、なにか他の事でも?」
「まあ..俺はるかと付き合うことにしたから...それで」
「えぇっ⁉︎そうなんですか⁉︎そ、そんな...」
夏希は何故かショックを受けた様子だった。
「ま、まぁ私はこれで失礼しますね、で、では!」
夏希は少し顔色が悪かったように感じたが、さっさと行ってしまった。
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