第86話 1年生の終わり

「これより、三学期の終業式を始めます」


俺たちは1年生が終わり、春休みに入ろうとしている。

思い返せばこの1年は色々あった。

美央と出会ったり、遥と付き合い、関係も進んでいったことなどだ。


「続いて、3年生の卒業式です、卒業生代表!」


そう言われると、生徒会長の長瀬悠先輩が前に立つ。


「この学校に居れてーーーー」


長い話も終わり、無事3学期が終了した。


「みやび君!」


教室に戻る途中、悠先輩に呼び止められる。


「お久しぶりですね、先輩」


「そうだね、元気で何より...怪我してるのかい?」


悠先輩は俺の手に巻きついている包帯を見ると、驚いたように俺を見るを


「まあ、ちょっと」


「そうかい、ところで残念だなぁみやび君が生徒会に入らないなんて」


そういえばそんなことを前に言っていた。

まあ入る気など全くないのだが。


「君となら生徒会も楽しめそうだったのに」


悠先輩はそんなことを言い、さっさと去って行ってしまった。




「やったー!休みだー!」


春休みに入った俺たちは何をするか軽く話していた。


「まあそんなに長い訳でもないので、家でゆっくりしてていいんじゃないですか?」


「まあそうだな」


ということで春休みは家でゆっくり過ごす方針に決まった。


「それに...春休みはお祝いがあるしな」


俺は遥の方を見ながら言う。


「覚えててくれたんだね!」


「?、なんですか?」


俺と遥しか分からない内容に美央が不満そうに聞いてくる。


「誕生日だよ、はるかの」


「なるほど、そう言うことでしたか」


「今年は恋人として祝わないとな」


俺は遥と目を合わせながらそう宣言する。


「っ⁉︎..あ、ありがと...」


去年はまだ恋人などでは無かったため、遥の家で行われる誕生日会に参加しただけだった。


「そういえば、みおは誕生日いつなんだ?」


この1年、美央の誕生日を祝っていない、折角自分が生まれてきた日なのだから、美央も誰かに祝われたいだろう。


「私は6月です」


「そ、そうか..ごめん」


6月はまだ俺と美央が知り合ったばかりだったため、あまり美央のことを知ることが無かった。


(次は祝ってやらないとな)


俺はスマホのカレンダーに美央の誕生日をメモする。

そんな俺の行動を見た美央は


「祝って下さるのですか?!」


嬉しそうに身を乗り出しながら聞いてくる。


「まあ、誕生日だし...」


「やった!嬉しいです!」


美央は誕生日のことを想像しているのか、うっとりとしている。

そんなに自分の誕生日を祝われるのが嬉しいのだろうか。

こんな反応をされると、こっちまで嬉しくなってくる。

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