第85話 雅の誕生日会②
(って言っても何も命令すること無いんだよなぁ)
「なんでもいいんだよ?」
遥たちは早く命令してほしいらしく、さっきから急かしてくる。
「うーん、そう言われてもなぁ」
そんなことを言われても、すぐには出ない。
「では、私が自分からご奉仕させていただきますね!」
美央はそう言うと、俺の後ろに回り、肩を揉んでくれる。
「まずは肩揉みから始めますね」
「ああ、ありがとう」
肩揉みは疲れが取れるので、ありがたい。
「わ、わたしは..えっと」
遥も何をしようか考えているようだ。
「みやび君、力加減はいかがですか?」
「ちょうどいいよ」
そのまま、少しの間肩を揉み続けてくれる。
「あ!今度は頭のマッサージをしますね!」
すると、美央は思い付いたように言う。
「頭か」
「はい!いいですか?」
「ああ、お願いするよ」
「喜んで!」
そう言って、美央が取った行動は意外なものだった。
「っおい⁉︎どうして俺の頭を胸で挟むんだよ!」
なんと、美央は俺の頭を谷間に挟む形で、軽く押したり離したりを繰り返す。
「こうしたほうが気持ちいいのかなと」
「べ、別に気持ちよくないからやめてくれ!」
「みお...あんたどこまで淫乱なのよ!」
遥は先ほどの怒りがまた込み上げてきたようだ。
「む?はるかさん?自分は出来ないからって嫉妬しないでくださいよ?」
「〜っ⁉︎し、嫉妬してないし!むしろそんなの邪魔なだけでしょーが!」
「なるほど、でははるかさんはたとえ胸が大きくなるチャンスがあったとしてもそれを使わないということですね?」
「そ、それは...」
遥は否定せずに黙り込んでしまう。
どうやら美央の方が一枚上手のようだ。
「まあまあ、あんまりはるかを虐めないでくれ」
なんだか遥が可哀想に見えてきた。
俺は遥の頭に手を置き撫でてやる。
「み、みやびぃ...」
遥は甘えるように俺の胸に頭を埋め、そのままスリスリと頭を擦ってくる。
「むぅ、今日はメイドなのでみやび君を甘やかすはずですが?」
「メイドが甘えちゃだめなんてルールないもん!」
遥はそう言って、更に甘えてくる。
「ね?いいよね?みやび」
「まあ、全然いいけど」
甘えられること自体、嫌でもないので俺は遥を止めたりせずそのままにした。
「じゃあ私も甘えていいですか?」
美央は頭の後ろから手を伸ばして俺の首に腕を回して抱きついてくる。
「だめでしょうか...?」
美央は軽く俺の背中にもたれかかりながら、聞いてくる。
「...いや、構わないよ」
2人ともいつも家事などを頑張ってくれている為、今日ぐらいは甘やかしたいと思った。
「ありがとうございます!んーこうすると安心します」
美央は俺の片方の肩に顔を乗せて、そんなことを呟く。
「それはよかったよ」
俺は美央の頭に手を乗せ、撫でてやると
「み、みやび!私にも構って!」
少し手を離しただけなのだが、遥は俺の手を独り占めしたいというように俺の手を引っ張り、その手を自分の頬に当てる。
「ず、ずるいですよ!」
「ずるくないもーん」
結局、この日は俺が甘えるのではなく、ただただ2人を甘えさせるだけで終わった。
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