第79話 謎の男

「変な男の人...ですか?」


俺は家に帰ってから、先ほどのことを美央に話した。


「ああ、みおのことを知ってそうだったけど...」


「...わかりませんね、どなたでしょう..」


美央には心当たりがないらしい。


「そうか...」


今は男の情報は得られそうにない。

俺たちはこの会話を終了し、もう夜遅いため眠りについた。




「これにて、始業式を終了します」


校長の言葉にその場から解散となる。


「あー、休みも終わりかぁ」


「楽しかったな」


「うん..みやびとも...えっ..ちできたし...」


冬休みも終わり、俺たちは学校から帰っていた。


「私も楽しかったですよ?ねぇみやび君?」


美央は俺の腕を抱きしめて、嬉しそうに言う。


「...だな」


遥がいる前であまりそういうことを言わないでほしい。


「じーっ」


遥は怪しむような目で俺を見てくる。


「や、やっぱりはるかと過ごせると楽しいな〜!」


俺が誤魔化すようにそう言うと


「ホント?!だったらよかったよー!」


遥は心底嬉しそうな笑顔を浮かべる。


俺たちがそんな他愛もない会話をしていたその時、異常は起こった。


「よう、みお、会いたかったぜ」


「...あなたは」


そこには、先日俺に美央を知っているか聞いてきたあの男が立っていたのだ。


「くくく、やっぱりお前はみおの連れか」


そいつは俺を見ながら愉快そうに笑う。


「くく、今日はそれが確認出来ただけでいい、また会おうぜ、みお」


そう言い残し、男は歩いて去っていった。


「み、みお?」


美央を見ると、体が震え、怯えているようだった。


「大丈夫か?みお!」


「は、はい..大丈夫です、全然...大丈夫ですよ」


美央はそう言うが、全く大丈夫には見えない。


「早く帰ろう」




「みお、少しは落ち着いたか?」


「...はい」


美央は先ほどよりは良くなったが、まだ顔色が悪い。


「みお、今は言いたくなければいいけど、話してくれないか?さっきの男のこと」


美央は少し躊躇った後、決心したような顔つきになり


「わかりました...」


美央は少しずつ、ゆっくりと話を始めた。

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