第76話 2人でのベッド
「うぅ...」
気がついた時、俺の目には美央の部屋の天井が映る。
「みやび君!!よかった..気がついたんですね..」
俺が状況を把握しようと考えていると、美央が俺を上から覗き込んでくる。
枕かと思っていたのだが、俺が今頭を置いているのは美央の膝だったようだ。
「あれ?..俺..なんで?...」
「みやび君..お風呂でのぼせてしまったんです...私のせいで..本当にごめんなさい...」
美央はしゅんとしながら俺に謝る。
「あ、ああ..そうなのか..」
俺はなんとなく状況がわかったので、頭を上げる。
「も、もう大丈夫ですか?まだ寝ていた方がいいのでは?」
「もういいよ、だいぶよくなったし」
「そうですか..本当にごめんなさい...」
美央はあまりにも申し訳なさそうに謝る。
流石にこんなことされると、怒るに怒れない。
「別にいいよ、今回は俺も悪いし」
「み、みやび君...」
「さ、もう遅いし寝よう」
「...はい!」
美央は少し複雑そうな顔をした後、満面の笑みで俺に応える。
「ん..少し狭いですね...」
流石に高校生2人だと、美央のベッドは少し狭い...というか、今入っているベッドはさっき見たベッドより小さくなっている気がする...
「そうだな...」
俺は美央の反対側を向き、目を閉じながら言う。
「みやび君...さっきはごめんなさい」
美央はまださっきのことを悪く思っているようだ。
「大丈夫だって...そんなに気にしてないし」
「で、ですが...」
「全く..大丈夫だって、な?」
俺は美央の方を向き、美央を安心させるように軽く頬に手を添える。
「ぅ..はい...みやび君がそういうなら...ん...」
美央は俺の手を愛おしそうに見ながら、俺の手に頬を擦り寄せてくる。
「みやび君は優しいですね..そんなところも好きです..」
「そ、そうか、ありがとな...」
流石に面と向かって「好き」と言われては、少し照れ臭くなってくる。
「も、もう寝るか!おやすみ、みお」
「はい、そうしましょうか...あ!みやび君...その前に...」
「ん?なんだ?」
少し顔を赤らめながら、美央は思い切った顔で俺の方へ寄ってくる。
「ちゅっ」
その瞬間、俺のおでこにあったかくて柔らかい感覚が走る。
「えへへ、おやすみなさい..みやび君!」
「あ、あぁ...おや..すみ..?」
美央は幸せそうな笑顔を浮かべ、目を瞑りしばらくすると寝息を立てながら心地よさそうに寝てしまった。
(ふ、不意打ちはダメだろ...)
俺は突然おでこにキスをされ、なかなか落ち着いて寝ることが出来なかった。
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