第73話 ウォーキング後

「はぁ..ウォーキングもたまにはいいですね」


俺たちは食後の運動から帰ってきた。


「私の部屋で少しゆっくり過ごしてましょうか」


俺は美央の部屋に連れて行ってもらい、そこで過ごすことにした。

どうやら美央の部屋は先程の部屋ではなかったらしく、先程とは別の部屋に連れてこられた。


「ここがみおの部屋なのか?」


「はい、まあゆっくりしてください」


「ああ、ありがとう」


美央の部屋は少し大きいベッドと、勉強机、難しそうな本が何冊も置いてある本棚、そして壁にかかっているテレビがある。

俺は美央に促され、ソファに座ることにした。


「これで好きなものを見てください」


美央は俺の方へリモコンを渡してくれる。


「いいのか?」


「はい、みやび君と一緒に観ることに意味があるので!」


美央はそう言いながら俺の隣に座る。


「じゃあ、もらおうかな」


俺は適当にチャンネルを回すと、1つのチャンネルに目が止まった。

それはとあるホラー映画だった。

内容はある家族が買った家が、昔事件が起きた場所でその場所は怪奇現象が起こり...

という物語だった。


「ほ、ほんとにそれを観るんですか?」


美央は心配そうにしながら俺を見つめてくる。


「みおは怖いのが苦手なのか?」


「え..っと、別に苦手じゃありませんよ?全然余裕ですから...はい..」


どう見ても余裕には見えないが、俺少し美央をからかいたくなってきた。


「そうか、じゃあ見ようぜ」


「...はい」


美央は気が進まないようだが、俺はそんなことは気にしない。


「ひゃっ⁉︎」


画面に幽霊のようなものが写ると、美央は俺にしがみつき、顔を画面の反対側へと向ける。


「どうしたみお?」


「な、なんでもないです..」


「へぇ、そうか」


その後も美央は怖いシーンが出ては、俺に抱きつき怯えている。


「うぅ..みやび君...」


映画が終わったというとに美央はまだ怖がっている。


「おいおいみお、もう終わったぞ」


「それでもまだ怖いんですよぉ」


美央は俺の胸に顔を埋めながら抱きついている。


「全く、こんなに苦手なら言えばよかったのに」


「うぅ、みやび君に良いところ見せたかったんですよぉ..」


コンコン


美央と話していると、ドアがノックされる。


「みやび君、みおと一緒にお風呂に入ってきたらどうだい?」


どうやらやって来たのは美央の父親のようだ。


「えぇ..一緒にですか?」


俺はドアを挟んで美央の父親に問う。


「付き合ってるんだから、それくらいはいいんじゃないかな?」


「で、でも..」


「だめ...ですか..?」


俺が返答に困っていると、美央が顔を上げて俺を見つめてくる。


「私、怖くて1人で入りたく無いです..」


「っ⁉︎」


美央は涙目になっている目で俺を上目に見つめてくる。


(くそっ、さっきからみおが可愛すぎる!)


俺がそんな美央の可愛さに悶えている間に


「はい!一緒に入ることにします!」


「そうか、ゆっくり入れよ」


「はい!」


美央が先に答えて、美央の父親は行ってしまった。


「さ!行きましょ?」


美央は先程の怖がっていたのが嘘かのように、笑顔で俺を連れて行った。

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