第72話 美央の家でのご飯
みやび君を監禁してみやび君の気持ちを知った私、白雪美央は今、気分が最高潮に達していました。
なにしろ、私はみやび君と遥さんの会話を聞いて私にはもう入る隙が無いのか、やっぱりみやび君の初恋の人には勝てないのか、と少しばかり諦めていた部分がありました。ですがみやび君の気持ちを聞いて、私はようやく遥さんと同じ土俵に立てたんだと思います。
ようやく..ようやくです、私も遥さんと一緒の目線で見てくれる...そう思うと私は早くみやび君を手に入れたい。という衝動が湧き上がってきて、みやび君に触れたくて堪らなくなりました。
「みやび君...」
私はみやび君の指に私の指を絡ませます。
「み、みお?」
みやび君の顔は赤くなっていて、私のことを意識してくれているのは明白でした。
「行きましょうか」
「あ、ああ」
私はみやび君の手を引き、2人の両親が集まっている場所へと向かいました。
◇◆◇
美央に手を引かれ、俺たちが両親のところへ戻ると、もうお昼時とのことで豪勢なご飯が長いテーブルに置かれていた。
俺が椅子に座ると、美央はすぐ隣に座る。
「うまいな」
「ふふ、お口にあったようですね」
シェフらしき女性は軽く微笑んでからキッチンへ戻って行った。
「神楽さんはどうですか?」
おそらく美央の母親、と思われる女性が俺の母親に語りかける。
「ええ、とても美味しく頂いております」
母さんは少し緊張した様子で返す。
なにしろ、美央の父親が俺の父さんより立場が上のため、気を遣わなければいけないのだ。
「みやび君、ご飯が口に付いてますよ」
俺がそんな会話を見ていると、美央は俺の口元についているご飯に気づき、指で取ってくれる。
「あ〜む」
そしてそのご飯を取った指を、美央はそのまま口に入れ、食べてしまった。
「んっ...」
そして、口から離す瞬間、美央の唾液が指に少し残り、明かりに照らされ光っている。
俺はそれすらも意識してしまっていた。
(まずい..前まではこんなことではなんとも思わなかったのだが...)
美央へ俺の気持ちを伝えてから、更に美央への意識が強くなってしまっているようだ...
「どうかしましたか?みやび君?」
美央は不思議そうに俺を見つめてくる。
「い、いや...なんでもない...」
「ははっ、みおちゃんが綺麗で見惚れてたか?」
「と、父さん...」
父さんは俺をからかうように言うを
だが実際当たっているので、俺はあまり強く言い返せなかった。
「ふふ、そうなんですか?」
美央はニコニコしながら俺に聞いてくる。
ここで俺がそうだよと答えても、俺の両親と美央の両親は俺たちを恋人だと思っているので問題無いが、それは遥への裏切りとなる。
美央のことは意識しているが、まだ美央を好きになったわけではないのだ。
なのでここはどう返すのが正解なのだろうか。
「い、いや、別に..」
俺は結局、誤魔化してしまった。
「ふふ、そうですか」
美央は口元を手で隠して、上品に笑う。
「ふぅ...お腹一杯だな..」
お昼ご飯は美味しかったが、少々量が多かった。
「みやび君、食後の運動にでも行きませんか?」
「ああ、行こうか」
俺たちは美央の家の近くを少し歩くことにした。
「いやーご飯美味しかったなぁ」
「お口にあったみたいでよかったです」
隣にいる美央は少しにっこりすると、そのあと少し思い切った顔になる。
「み、みやび君!今日は私の部屋で一緒に寝ましょう!」
「..え?」
「お願いします!」
「えっ、いや..それは..」
以前の俺なら遥しか眼中にないため、何の心配もなく受け入れていたかもしれないが、美央を意識し始めてしまった俺はそれを想像するだけで少しドキドキしてしまっている。
「だめ..ですか?」
美央は上目を使いながら、寂しそうにお願いしている。
「うぅっ...」
まずい...美央に意識していることを言ったのは失敗だった。
なにしろ、美央は俺の気持ちを知ってから、自分の可愛さを最大限にアピールしてくるのだ。
そんな美央に俺はドキドキしっぱなしで、胸が痛いくらいだ。
「みやび君...」
美央は俺の名前を呼びながら自然な流れで、俺と腕を組み、自分の女性の部分を俺に感じさせるためか、胸を強く押し当ててくる。
「だめですか..?」
「わ、わかったから離してくれ!」
とうとう俺は折れてしまった。
「やった!約束ですよ?」
俺の了承を得た美央は、腕を離してその場で軽くジャンプをして喜んでいる。
美央の可愛さと幼さが残る仕草に、俺の鼓動は更に早まっていった。
(この状況で美央と一緒に寝るのか...)
決して浮気をするなどは考えていないが、俺の中には、少し心配が生まれてしまった。
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