第61話 3人のスキー合宿

その後、出来上がった料理を食べてみると、すごく美味しかった。

自分で作った、ということもあるだろうが、大きいのは遥の料理の上手さだろう。

おそらく、俺1人でやっていたら黒焦げになるのがオチだ。




「..んん」


翌朝、俺が時計を見ると、まだ朝の5時だった。

先に顔でも洗っておくかと思い、俺が体を起こすと


「みやび..君?」


美央はもう起きていたのか、布団の中から顔を出し、俺を呼んでいた。


「みお、起きてたのか」


「ふわぁ..おはよぉござ..ます..」


美央は目を擦りながら、布団から出る。


「朝ごはん作ってきますね」


「ああ、ありがとう」


俺は顔を洗い、ソファでテレビでも観ていると


「あ、コーヒー淹れましょうか?」


「ん、頼むよ」


そして、美央は俺にコーヒーを渡してくれる。


「はい、どうぞ」


「ありがとう、みお」


美央は俺にコーヒーを渡すと、再びキッチンへ戻っていった。


「そういえば、お正月に父が実家に帰ってこいと言われまして、みやび君も一緒にとのことなのですがどうでしょうか?」


「正月かぁ、そうだな..」


正直言うと正月は遥とイチャイチャして過ごしたい、という思いもある。

しかし、実は昨日の夜、俺の両親から電話があったのだ。

その内容は

『みやび、正月くらいに一度実家に顔を見せなさい、もちろんみおちゃんも一緒ね!』

と母親に言われている。

俺がそのことを美央に話すと


「では、私の家族とみやび君の家族、両方で一緒にお正月を過ごしませんか?」


「うーん、そうだな..まぁ考えておくよ」


そうなると遥はどうなるのだろうか。

俺はすぐには決断することが出来なかった。




「おはよぉ!みやびー!」


俺が食べ終わった食器を洗っていると、今起きたのか遥が後ろから抱きついてくる。


「もう食べちゃったんだ、一緒に食べたかったなぁ」


「はるかは朝起きるの遅すぎるんだよ、今もう10時半だぞ?」


「起こしてくれたらよかったのにぃ..」


「よかったのか?すごく気持ちよさそうに寝てたけどな」


「んーじゃあダメかなー!」


遥はいつもよりテンションが高いようだ。

それもそうだ、今日はスキー場へ行く予定なのだ。

遥とは小さい頃に何度か行ったが、美央とは初めてだ。

はたして美央は滑れるのだろうか。




「着きましたよ、みやび君」


俺が新幹線で寝ていると、美央が起こしてくれる。


「ん、ああ..」


俺はまだあまり目が覚めていなかったが、新幹線の窓から見えるその景色を見て、驚愕する。

そこには、俺たちの住んでいる場所とは全く違い、美しい雪景色が一面に広がっていた。

ここで俺たちは1泊2日のスキー合宿をすることになるのかと思うと、楽しみになってきた。

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