第59話 間の悪さ

「は、はるか...」


俺の隣にはおそらく服がはだけ、胸が露わになっているであろう美央がいる。

この状況を見て遥はどう思うだろうか。


「..みやび?みおが寝付くまで頭を撫でてあげたの..?」


遥は不満そうにこちらを見ながら言う。


「え、ええっと、まあ..」


「へー、じゃあ私のご褒美の時もそれくらいしてくれるんだ?」


「..それはもちろんだ」


おかしい、美央は俺の隣で服が乱れた状態で寝ているはずだが、遥はそれについては何も言ってこない。


「はるか、もしかしてみおって服着てる?」


「ん?..ってみおの下着みえてる⁉︎ま、まさか..みやびとそういう関係に..みやび!ひどいよ!」


美央が下着は着ていたことが分かったが、遥が怒ってしまった。


「いやいや誤解だって!」


「でもみおの下着見えちゃってるじゃん!」


「それは勝手に服がずれただけだよ!」


「そんなことあるわけない!」


「んむぅ?みやび君?」


俺たちが大声を出しているせいで、美央は目を覚ましたようだ。


「あれ?なんで私..下着に..はっ!まさかみやび君..遂に私とエッ...」


「してない!してないから誤解を生むような発言はしないでくれ!」


「や、やっぱりしてるじゃん..浮気者ぉ..」


「本当に違うんだ!信じてくれはるか!」


俺たちはこんなやりとりが一時間程続き、ようやく遥の誤解が解けた。


「うーんそこまで言うなら..信じるけど...」


「そうか、ありがとう」


「で、ご褒美は?くれるよね!」


遥はさっきの曇った表情とは一転し、明るい表情へと変わる。


「ああ、何がいいんだ?」


「えーっとね、そうだなぁ..じゃあ..」


遥は少し照れている様子だ。

一体何を考えているのだろうか。


「私と..2人でご飯作ろ?」


「...え?」


「だから!私と一緒にご飯作ろうよ」


「ご飯?」


なぜ俺とご飯を作りたいのか理解できない、俺は料理を全然したことがないのだ。

そんな俺が果たして上手くできるだろうかと思うが、遥となら楽しめそうだ。

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