第51話 学校祭 開催

「みやび、どこ行きたい?」


俺の横に立っている遥は俺に地図を渡して言う。

今日は学校祭当日である。

俺たちはお化けの役はしないため、30分程受付にいるだけで済む。


「み、みやび君、あそこ行ってみませんか?」


美央は俺の腕にくっつきながら言う。

最近美央のスキンシップが更に激しくなった様な気がする。

おそらく、遥に先を越され、更に煽られたからだろう。




「ここって..」


美央に連れてこられたのは


「お化け屋敷でーす!」


なんとウチのクラスのお化け屋敷だった。


「あれ?みおちゃんたち入るの?」


俺たちが近づくと、受付の人に驚いたように聞かれる。


「はい」


「ん、200円でーす」


俺たちは料金を払い、中へ入っていく。


中は真っ暗で唯一の灯りは、壁に掛けられたランプだけだ。


ギシッ!!


「ひえっ⁉︎」


俺たちが道のりを進んでいると、突然床が軋む音がする。


「な、何の音?」


遥は不安そうに俺の服を掴む。


ギシギシとその音はだんだん大きくなって近づいてきているような気がする。


ギシギシ..


ドン!!!


「ひゃぁぁぁ!!!」


なんと、お化けの衣装をした人が壁を突き破って出てきたのだ。

しかし予想以上に遥は驚いていなかった。

むしろ美央の方が驚いて叫んでしまっていた。


「み..みやび君...」


美央はすっかり腰が抜けてしまったらしく、俺に助けを求める。


「大丈夫か?」


俺が手を貸すが、美央は俺の手を握ろうとはしない。


「どうした?」


俺が聞くと、美央は言いづらそうに


「あの..腰が抜けてしまって立てません..」


と言いだす。


「おいおい、大丈夫かよ」


「あの..おんぶしてくれませんか?」


美央は目に涙を浮かべながら、そんな事を言う。


「ええ..」


「別におんぶしてもいいんじゃない?それでみやびの気持ちが変わるわけないしさ」


遥は最近余裕が出てきたので、美央との接触もあまり気にしていない様子だった。


「..いいんですか?はるかさん」


「うんいいよ?だってみやびは私とするときあんなに愛を叫んでくれたんだし..」


遥は俺としたときのことを思い出したのか、少し顔を紅潮させている。


(..恥ずかしいからやめてくれよ..)


「まあ、外までならおんぶするよ」


俺はそう言ってしゃがみ、乗りやすい体勢へ変える。


「ありがとうございます..」


その後は、所詮高校生のお化け屋敷なので、そこまで怖くは無かった。

しかし美央はお化け屋敷が苦手らしく、相当びびっていたようだ。

その度に美央の大きな胸が、俺の背中に押し当てられ、形を変えていくので、こっちとしては自分を抑えるのに必死だった。


(お、俺ははるかが好きだから..みおには興奮しない..はずだ..)

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