第45話 雅の過去 前編

ピピー!!


「はぁはぁ...」


小学生の頃、俺は朝から晩までスポーツをやっていた。

サッカー、バスケ、野球など様々なスポーツに手を出してはすごく努力をした。

練習かない日は、公園で遥に練習を付き合ってもらっていた。

そんな日々を送っていると


「みやび先輩!これに出ましょうよ!」


俺の入っていた学校外の陸上部の後輩、橘七瀬(たちばなななせ)がそう言うと、陸上の大会用紙を取り出してくる。


「陸上か、やってみようかな」


俺はそう言って、用紙をもらう。




そして俺は、大会予選を突破し、大きな大会に出ることが決まり、俺は会場へ向かった。


「みやび!頑張ってね!」


応援に来てくれた遥が笑顔で言ってくる。


「ああ、行ってくる」


俺はそう言って、控室に向かう。


「あ、あの!先輩!」


俺が部屋に入ろうとすると、七瀬に声をかけられる。

残念ながら、彼女は予選敗退してしまい、部活のみんなと応援に来てくれている。


「どうした?」


「あの...頑張ってください!」


七瀬は少し顔を赤くして言う。


「ああ、全力でいくよ」


俺は七瀬にそう言って、着替えに行く。

そして、着替えが終わると、俺は控室へ入り、順番を待つ。

周りを見ると、ほとんどが俺と同い年くらいだった。

その中には松川咲の姿もあったのだ。


そして、試合が始まると、案外あっさり勝ててしまったのだ。

しかし、そこからが地獄だった。

予選を突破し、本戦では余裕の1位をとった俺は自信過剰になっていた。


「みやび、練習しなくていいの?」


大会の前日に遥は、俺にそんなことを尋ねてくる。


「大丈夫だろ、今回も余裕で1位とってやるぜ!」


俺はその時、自分を特別な存在だと過信していた。そして、俺は練習をサボってしまっていた。


そして、いざ大会に出ると


バン!!


スターターピストルが撃たれ、選手が一斉に走り出す。

しかし、


(っ⁉︎)


練習をしていなく、スタートダッシュが遅れてしまったのだ。

そして、俺はそのまま全速力で走ったが、あまり上手いと言える走りも出来ず、結果は最下位で終わってしまったのだった。


「..ぅう...ふぅ..あぁ」


俺はその日、家に帰ると一日中泣き続けてしまった。

その途中に遥が俺の家にやってきて


「みやび?大丈夫?」


遥は優しい声でそう言って、俺を抱きしめてくれる。


「大丈夫、大丈夫だから、悔しかったね」


その日の遥は俺に、付きっきりで慰めてくれた。

その時からだ、遥を意識し始めたのは


俺はその後も陸上を続けたが、あまりいい結果が残せず、そのまま引退したのだ。


「お疲れ様」


俺が家の前まで帰ると、遥が待っていた。


「ああ」


ずっと練習に付き合ってもらっていたのに、結果が出なくなり、その上やめてしまい、少し遥に申し訳なさがある。


「辞めちゃうんだね」


「うん、ごめんな」


「なんでみやびが謝るの?」


遥は不思議そうに言う。


「練習にずっと付き合ってもらってたし..」


「えー別にいいのに、私も楽しかったし!」


「そう言ってもらえると嬉しいよ、じゃあ」


俺はそう言って、自分の家の扉を開く。


「ま、まってよ!」


すると、遥が俺の腕を引っ張る。


「?」


「もうちょっと一緒にいよ?」




「ここ?」


遥に連れられてきたのは、家の近くの河川敷だった。

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