第42話 生徒会長

「あー、お腹空いたぁー」


遥がお腹をさすりながら言う。

午前の競技が終わり、お昼休みとなったところだ。

ちなみに、雅のクラスは学年で2位、という結果になっている。


「そうだな」


「みやび!今日は手作り弁当だよ!」


そう言って、遥は弁当箱を取り出す。


「おお!作ってくれたのか?ありがとう、嬉しいよ!」


俺は遥から弁当を受け取り、お礼を言う。

可愛い彼女が自分の為に作ってくれたご飯、というのは本当に嬉しいものだ。


「えへへ、よかった!」


遥はとても嬉しそうに笑う。


「みやび君、私も一緒に作ったんですよ」


すると、美央もドヤ顔でそう言ってくる。


「へぇ〜美央も作ってくれたのか、ありがとな!」


俺は美央へもお礼を言う。


「ふふ、感想もお願いしますね」


美央は少し顔を赤くしてそう言った。


俺たちがご飯を食べる為、席を探していると


「ねぇ!よかったら一緒に食べない?」


ある生徒から声がかかる。

俺はそちらを見る。

そこには、先程話をした松川咲先輩の姿があった。


「先輩」


俺たちは先輩の方を向く。


「お久しぶりです、松川先輩」

「お久しぶりです!」


美央と遥は以前に会ったことがあるらしく、そんな挨拶をする。


「お久しぶりです」


俺も続き挨拶をする。


「うん!って言ってもみやび君はさっきぶりだけどね」


「ははっ、そうですね」


「ところでご飯一緒に食べない?」


咲先輩は改めてそんなことを聞いてくる。


「ご、ご飯を一緒に?」





結局、先輩に連れられるまま、俺たちはあるところにやってきた。


「ええ⁉︎ここで食べるのか⁉︎」


俺は連れてこられたところを見て、驚いてしまう。


「うん、そうだけど?」


咲先輩は当然のように言う。


「ええ..でもここって..」


雅がこんなに戸惑っている理由、それは


「よりにもよって生徒会室かよ」


そう、ここは生徒会室なのだ。


「ほら!早く入って!」


俺たちは流されるまま、中に入って行く。


「む、来たか」


すると、中には机に肘をつき、手の甲の上に顎を乗せている。と言ったいかにも偉い人っぽい男子生徒が座っていた。

(誰だ..?)


「やぁ、みやび君」


その男子生徒は少し表情を緩くして、俺の名前を呼ぶ。


「あの..あなたは?」


俺はその人に質問を投げる。

すると、さっきまで俺たちの隣で黙っていた2人が


「「え⁉︎」」


と、驚いた声をだす。

そして、その男子生徒は、「ふふ」と不敵に笑うと


「僕はこの学校の生徒会長、は長瀬悠(ながせゆう)よろしく」


と、軽く自己紹介をする。

どうやら生徒会長だったらしい。

(失礼なことをしてしまった...)


「よろしくお願いします!」


俺はできる限りの笑顔を作って返す。


「うん、さぁ食べようか」


そう言って、悠先輩は弁当を取り出す。

どうやら俺たちと一緒に食べるらしい。

もしかしたら悠先輩が、咲先輩に俺たちを呼ぶよう言ったのかもしれない。


「さ!座って座って!」


咲先輩は俺たちを席へと案内してくれる。

俺は席に着き、弁当を広げる。

(それにしても...)

俺は軽く悠先輩の方を見る。

悠先輩は目鼻立ちが整っている上に、黒くシュッとした眼鏡により、とても知的に見える。

しかし、悠先輩が放つ雰囲気は何故だかわからないが、少し不気味に感じた。

(まあ、今考えても仕方ないか...)

俺は、遥たちが作ってくれた弁当を、少し口に運ぶ。

(これは..普通に美味いな)

俺はちらっと遥と美央を見る。

2人は生徒会長の前だからなのか、緊張しているようだった。

いつもなら「食べさせてあげる!」とか言ってくるが、今は黙々と弁当を食べているだけだった。


「さて、少し話があるのだが..」


俺が弁当を食べていると、悠先輩が口を開く。


「なんですか?」


やはり、俺たちが呼ばれたのは何か話があったからのようだ...

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