第40話 予期せぬ事故

「みやび!お疲れ様、かっこよかったよ」


俺が席に戻ると遥が笑顔で迎えてくれる。


「おいおい、神楽、お前めちゃくちゃ速えーじゃん!」


遥と話していると、俺は突然、クラスの陽キャグループに話しかけられる。


「そ、そうか?」


「そうだよ!すっげえ速かった!」


「このクラスでもトップクラスだよ!」


他にも何人かの生徒から称賛の声があがる。

普段、美央と遥のことでしか目立たない俺が、意外にも足が速く、驚いているようだった。

どうやら、このクラスでは俺くらいのスピードの生徒は、遥と陸上部くらいしかいないようだ。


「お疲れさん」


誠司も親指を立て、グッドといった感じで俺に言う。


「おう」




『最後は学年混合リレーです』


遥が出るクラス対抗リレーは無事1位という結果を残した。

最後は学年関係なく各学年8人、1クラス2人出て400メートルずつ走り競う、学年混合リレーというものだった。

ウチのクラスからは陸上部の人が出ている。


「いちについてー、よーいどん!」


という声と同時に一斉に走りだす。

一年は歳の差をものともせず、2年の選手を追い抜かし、2位で次へ渡す。

試合はどんどん進み、1年は2位でアンカーにバトンが渡る。

アンカーは俺たちのクラスの生徒だ。

1位から3年、1年、2年という順番で並んでいる。

試合はヒートアップし、コースのカーブ部分に差し掛かるとき、事件は起こってしまった。


「ああっ⁉︎」


3年の足が、1年の足に絡まり、こけてしまったのだ。

3年はなんとか体制を整え、再び走るが、もう1人はなかなか起き上がらない、10秒20秒経っても起き上がらず、2年が1位、3年が2位でゴールしてしまった。

しばらくすると、何人かの先生がその生徒に駆け寄り、何か話しかけている。

そして何人かに抱えられ、その生徒は校内に運ばれていく。


「...」


一応閉会式も終わり、各自自分のクラスへ戻ることになった。


「大丈夫かな?」


遥が俺に近づきそう言った。

おそらく、さっきこけてしまった生徒のことだろう。


「心配だな、大怪我じゃなければいいが...」




教室に入った俺たちは先生の話を聞く。


「えー、軽い捻挫だそうだ、学年混合リレーにはでれそうにないため、誰か代走をしてもらうことにする」


先生がそう言った瞬間、視線が俺に集中する。


「おいおい...」

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