第37話 初体験

身体を綺麗に洗った後、俺は風呂を後にする。


「は、はるか...」


部屋の電気は消えていたが、遥がそこにいるということはわかった。

俺はベッドの上に座っている遥に声をかける。


「み、みやび...」


遥は少し俯きながら、自身の隣を手でぽんぽんと叩く。

隣に座れ、ということなのだろう。


「...」


俺は無言で遥の隣に座る。


「...」

「...」


お互い緊張してなかなか事が始まらない。


「...」


「は、はるか!」


俺は勇気を振り絞り、その沈黙を破る。


「はい!..な、なに..?」


遥はビクッと身体を震わせ俺の方を向く。

しばらく、お互い見つめ合う。


「はるか..」


俺は名前を呼ぶと遥の肩を掴み、そのまま遥の唇に自分の唇を重ねる。


「ん..ふ..はぅ...」


俺たちは互いに舌を絡ませながら、お互いの唾液を交換していく。


「ちゅ...ふぅ..はぁ..」


唇を堪能し、俺はそっと離れる。


「はぁ..はぁ..みやびぃ..」


遥は目をとろんとさせて、こちらに近づいてくる。


その後、俺たちは一時間程行為をし、今はホテルのベッドに横になっている。


「ふふっ..みやび!」


遥は俺の腕に抱きついてくる。

すると、その小ぶりな胸が腕に押し当てられわずかに形を変える。


「はるか..」


俺は遥を抱きしめ、頭を撫でる。


「みやび..大好き..」


と言って、遥は俺に身を委ねる。




「んん...?」


朝、俺はホテルのベッドの上で目覚める。

どうやら、あのまま寝てしまっていたらしい。

俺の胸の中には、遥が可愛い寝顔で寝ていた。

俺は昨日した事を思い出し、遥の身体を見てしまう。

当然遥は衣服を着ておらず、朝から俺をドキドキさせるものだった。

このままでは、俺の息子までもが起きてしまうので、気を逸らそうとスマホを手に取る。

見ると、美央から何件もの不在着信がきていた。

俺は今起きているかわからないが、ベッドの中から手を伸ばし、美央に電話をする。

〜〜♪〜〜♪

少し経つと美央が電話に出る。

『み、みやび君、今どこですか?』

美央はおそるおそる、といった感じで俺に聞いてくる。


「今は...」


俺は遥とホテルに行ったことなどを話す。


『やっぱりそうでしたか...』


美央は悲しそうな声で言う。


「昼くらいには帰れるよ」


「ほい!いただき!」


「は、はるか⁉︎」


俺が美央と話していると、いつの間にか起きていた、遥が後ろから俺のスマホを奪う。

そしてそのまま美央との通話を切る。


「みおと電話するくらいなら私に構ってよ..」


遥は少し口先を尖らせながら言う。

俺は遥を抱き寄せ、遥の顔を見つめる。


「や..そんなに見ないで...」


遥は目を逸らしながら、恥ずかしそうに顔を赤く染めている。


「構ってって言ったじゃないか」


「そ、そうだけどさぁ..」


俺はそのまま遥の顎を掴み、キスをしようとする。


「ま、まって!だめだめ!」


「どうした?」


「ま、まだ恥ずかしいよ!」


遥はそう言い残し、服を着初めてしまった。


「ええー」


俺は残念な声をあげる。


「もぉーまた今度しよ?」


遥は片目を閉じ、ウインクのような感じで言ってくる。

その姿は本当に愛らしかった。

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