第26話 温泉旅館②
「はぁー疲れたー」
遥はそう言って、旅館の床に座り込む。
俺たちは遊園地から旅館に帰ってきた。
「ご飯持ってきてもらおうか」
この旅館は頼むと、ご飯を持ってきてくれるらしい。
「うん」
遥も俺に同意する。
「お待たせしました」
しばらくすると、部屋に中居さんが入って、食事を配膳してくれる。
「わあ!美味しそう!」
運ばれてきたのは鍋だ。
ぐつぐつと音をたてていて、とても美味しそうだ。
「じゃあ、食べようか」
「うん!」
「「いただきます!」」
「はい!みやびあーん」
すると、早速遥が自分の鍋を少しとって、俺に食べさせてくれようとする。
「ああ、あーん」
俺はそれをもらった。
今までは何度もしてもらったため、なんとも思わなかったが、さっきの観覧者の出来事があったからか、少し遥のことを意識してしまい、鼓動が早くなる。
「もう、こぼしてるよ」
と言って、遥が俺の口元を拭ってくれる。
「あ、ああ、ありがとう」
「ん、どういたしまして!」
している事は今までとそう変わらない、しかし
(なんだ?このドキドキは..)
特に特別な事をした訳ではないが、何故か遥を見ると鼓動が早くなる。
もしかしたら、俺もまだ遥を無意識のうちに「幼馴染」と思い、「彼女」と意識していなかったのかもしれない。
しかし、今回の事で少し意識が変わったのかも、と俺は思う。
「あーお腹いっぱい」
遥がお腹をさすりながら言う。
「はるか、先に風呂入るか?」
俺は遥に聞く。
この旅館は1部屋につき、1つ露天風呂がついている。
「い、一緒に入りたいな..」
遥は顔を赤く染めて言う。
「えっ..と..」
俺が少し戸惑っていると
「い、いいでしょ?」
遥は急かしてくる。
「あ、ああ、入る...か?」
俺は勢いでつい了承してしまった。
「ま、まだこっち向いちゃだめだよ?」
と、後ろで遥の声が聞こえる。
「あ、ああ」
俺たちは今、風呂に入るために、着替えているところだ。
後ろで遥が着替えている。
微かに肌と服が擦れる、スルスルという音が聞こえ、遥が今自分の服を脱いでいると思うと、少し気持ちが昂ってしまう。
(お、抑えないと...)
俺は自分の中に湧き上がる男を抑え、風呂場に出る。
「先に体洗っとくか」
俺はシャワーを浴びに行く。
「お、おまたせ‼︎」
俺が洗おうとすると、遥が入ってくる。
「っ⁉︎」
俺は遥の姿を見て、慌てて目を逸らす。
遥はバスタオルで体を隠しているが、タオルで余計に体のラインがくっきりと見えるため、逆に興奮してしまう。
「あ!体は私が洗ってあげるね!」
と言い、遥はこちらに向かってくる。
「え?お、おい⁉︎」
遥はそのまま雅の体を洗う。
「お痒いところはございませんかー?」
遥はノリノリで背中を洗いながら、そう言ってくる。
「あ、ああ」
「よし!背中終わりっと!次は前も洗うね!」
と、遥は言いそのまま前に回る。
「なっ⁉︎」
なんと俺の目の前には、丁度遥の胸がきている。
遥の胸は決して大きいとは言い難いが、確かに膨らんでいて形がしっかりとわかる。
「もう...見過ぎだよ..」
遥の顔を見ると、恥ずかしいがどこか嬉しそうな表情をしていた。
「わ、悪い!」
「ま、まぁいいけどさ...」
遥は顔を赤くして言う。
「と、とりあえず前も洗うね‼︎」
と言って、遥はしゃがみ体を洗ってくれる。
「あ、みやび...これって...」
すると、遥は顔をタオルで隠して、「ん〜」と唸り出した。
「え?どうし...た⁉︎」
俺は先ほどまで、遥が見ていた所を見る。
すると、
たっていた。
一応バスタオルで隠してはいたが、俺の股間の部分だけ周りと比べて盛り上がっている。
遥のことに気を取られ、自分の状態を把握できていなかったのだ。
「ご、ごめん!はるか!」
俺はすぐさま謝る。
「ううん、いいよ..わ、私でそうなったんだよ..ね?」
遥は少しタオルから顔を覗かせ、そう言う。
「ま、まぁ..でもホントにごめんな」
「いやいや!いいよ全然!仕方ないし!..それに..ちょっと嬉しいかも..」
遥は顔を更に赤くしてそう言う。
「そ、そっ..か..」
俺が醜態を晒した後、俺たちは一緒に湯船に浸かる事にした。
「ふぅ..」
俺は一気に肩まで浸かり、リラックスする。
「はぁ〜気持ちいー」
と言って遥も俺の隣にくる。
「あ!綺麗!」
遥は顔を上げて言う。
俺もそこを見ると
「おお」
そこには満天の星空が広がっていた。
「みやび..」
遥が俺を呼んでくる。
「ん?」
「好き..」
遥は顔を赤くしてそう言う。
「ああ、俺も好きだよ」
そう言って、俺の方からキスをする。
「はぁ...みや..びぃ...」
遥も雅を求める。
お互いの舌が絡まりより一層、興奮が高まる。
「は..るか..」
「ん..はぁ..ちゅる..」
俺たちがいい雰囲気になっていると、
ガタッ!
と脱衣所の方から音が聞こえた。
「な、なに?」
遥は少し怯えた様子でそちらを見る。
「なんだろな」
俺は脱衣所へ繋がる扉を見る。
「あっ」
そこには、ここの旅館の女将さんが覗いていた。
俺と目が合うと女将さんは
「あらあら気付かれたわね、ホント若いっていいわね〜ごゆっくり〜」
と言って何事も無かったかのように、部屋を出て行く。
「あぅ..」
すると、遥は顔を真っ赤にして俯く。
おそらくさっきしていた事を見られていた、という事が分かり、恥ずかしくなったのだろう。
「...そろそろあがるか」
「...うん」
風呂から上がり、俺たちは寝る準備をする。
「あーあ、折角いい雰囲気だったのに」
と、遥は不満を口にしている。
「大体なんで覗いたのよ!ねぇ!みやびもそう思わない?」
「まあ確かにな」
流石に風呂を覗いてはダメだろ、と俺も思う。
「だよね!」
「まあとりあえず寝ようか」
「えーもうちょっとみやびと話してたいな」
「布団に入ってもできるだろ?」
「まあ、そうだね、寝よっか」
俺たちは部屋の電気を消し、布団に入る。
「みやび..」
遥が布団の中で手を握ってくる。
「このまま..エッチな事..しちゃおうか..」
遥は頬を赤く染めながら囁いてくる。
「は..はる..か...」
俺はもう理性の限界だった。
「はるか!」
俺は布団を退かし、遥の上になる。
「み、みや..び?」
遥は少し焦ったような表情を見せる。
「いい..か?」
「え?あ!えっと..じょ、冗談だよ!流石にまだ早いでしょ!」
「え?」
俺の頭は一気に冷静になる。
「こ、こういう事はまだ先のお楽しみだよ!ね?」
「でもしようって..」
「流石に恥ずかしいよ..でも、いつかしよう..ね?」
「えぇ〜」
「残念そうにしないの!ほら!おやすみ!」
そう言って遥は布団を戻し、中に入って眠りについてしまった。
(はぁはぁ、ドキドキしたぁ〜!)
布団の中で遥は1人悶えていた。
自分で言ったのはいいものの、まさか雅が本当にしようとするとは思わなかったのだ。
(でもあの時やっぱりしたかったなぁ..)
遥は少し後悔している。
(でもみやびの顔が凄く近かったんだもん..はぁ〜〜かっこいいよぉみやび〜)
雅の顔は客観的に見ても飛び抜けてイケメンとまではいかないが、平均よりは上である。
それに、好きな人の顔となると、余計にかっこよく見えてしまう。
遥は横で寝ている雅を見ると、スマホでカメラを起動し、起こさない様にこっそり撮影ボタンをタップしたのであった。
「えへへ、寝顔いただきー」
Twitterやってるのでぜひ見てみてください
@asagiri_kouma
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