第25話 温泉旅行①

「遂に来たー!」

遥は大声で叫び手を大きくあげる。

俺たちは地方の温泉旅館に来ていた。

「先にチェックインだけしとこうか」

「うん!」

そして、俺たちは旅館にチェックインし、一度部屋へ入ってみる。

「ここだな」

「お!いい感じじゃん!」

そう言って、遥は荷物をおろす。

「よし!じゃあどっか行く?それとも...」

と言いかけ、遥は目を細めて服を脱ごうとする。

「わー⁉︎何してんだ⁉︎」

「ふふっ冗談だよ!」

と言って遥は笑う。

(おいおい..期待しちまうだろ..)

「あれ?怒っちゃった?ごめんね、みやび」

俺が少し黙っていると、遥は少し申し訳無さそうに言ってくる。

「いや、怒ってないよ」

「そっかごめんね?」

(謝るんなら最初からやらなければいいのに..まあ可愛いかったんだけどな)

「ああ別にいいけど..」

「じゃあ行こっか、近くに遊園地あったよね?そこ行きたいな!」

「そうだな」


俺たちは旅館の近くの遊園地に来た。

「ねえねえ!まずはあれやってみたいな!」

と言って遥が指さしたのはお化け屋敷だ。

「ええ..いきなりあんなので大丈夫か?」

遥は確か怖いのは苦手なはずだ。

「うん..だって前みおに取られちゃったし..」

遥は口先を少し尖らせながら言う。

「じゃあ..行こうか」

「うん!」


「お二人様ですか?」

「はい」

「ではこちらへどうぞ」

そう言われて、俺たちはスタッフに言われた入口に入って行く。

「きゃーこわーい!」

と言っていきなり遥が抱きついてくる。

「おいおい、そういうのはまだだろ」

「えーいいじゃん!」

遥は笑顔で言う。

「まぁ楽しいならいいけどさ」


流石に抱きつかれては歩きにくいので、手を繋ぐだけにし、俺たちは先へ進む。

「ひぅっ⁉︎」

すると、いきなり遥の体がびくんと跳ねる。

「ど、どうした?」

「な、なんか上から水が...」

そう言って遥は恐る恐る上を見る。

おそらくそういう仕掛けなのだろう。お化け屋敷の中には、所々水が降ってきている。


俺たちは、そのまま歩いて行くと

ブシャアアア!という音とともに煙があがる。

「ひゃぁぁ⁉︎」

遥は思いっきりビックリして、俺の背中に顔を埋めている。

「だ、大丈夫か?」

俺が心配すると

「う、うん..大丈夫だよ?」

と言いながらも、遥の目には少し涙が浮かんでいる。


「はぁ..やっと終わった..」

遥はぐったりした様子だ。

「大丈夫か?」

「うん..なんとかね」

「一旦休憩するか?」

「うーん、いいよ、時間が勿体無いし!」

遥は一瞬悩む素振りをしたが、違うアトラクションへと向かう。


「ではベルトを閉めてください!」

と、スタッフに言われる。

次に俺たちはジェットコースターに乗る。

「楽しみだね!」

「あ、ああそうだな」

と、俺は笑顔を浮かべる。

実を言うと、俺はあまりジェットコースターが得意ではない。小さい頃は強がって乗っていたが、今となってそれを後悔してきた。

「それでは!行ってらっしゃーい!」

と、スタッフの人が言うと

ガシャン

と、コースターが動き出した。

遂に始まるらしい。

そしてそのままコースターは上に上がって行く。

「うわぁ!たかーい!」

と、遥ははしゃいでいる。

そして、そのままコースターはてっぺんまでつき、急落下していく。

「うわぁぁぁ!!」

そこからは悪夢のようだった。

遥は俺の隣で

「きゃー楽しい!」

と、余裕そうだったが、俺は恐怖しかなかった。

しばらくして、ようやくジェットコースターが終点に着く。

「はぁはぁ」

「あー楽しかった!」

俺は気分が悪くなり、すぐさまベンチに腰を下ろす。

「だ、大丈夫?」

遥が心配して隣に座る。

「あ、ああ」

「苦手だったの?」

と、遥が聞いてくる。

「ま、まあ..な」

「じゃあちょっとあんまり激しくないの乗ろうか?」

「あ、ああ..ごめんな」

「ふふっ別に大丈夫だよ」

と遥は笑顔で言ってくれる。



「楽しかったね!」

「ああ、そうだな」

時間はもう5時過ぎだ。

「最後に観覧者乗ろうよ!」

と、遥が提案してくる。

「うん、乗ろうか」


俺たちは観覧者に乗った。

「今日は楽しかったね」

と、遥が笑顔で言う。

「そうだな」

「この後は温泉もあるんだよね」

「うん」

「それから一緒の布団で寝ようね」

「ああ」

「でも明日には帰らないといけないのかぁ」

遥が名残惜しそうに言う。

「また来ればいいさ」

「また一緒に来てくれるの?」

遥は少し心配したような表情で聞く。

「ああ、もちろん」

「そっか」

遥は嬉しそうに笑う。

そして観覧者はどんどん高度を上げていき、もうすぐで頂上に差し掛かる。

「ふふっ綺麗だね」

観覧者からは夕日が見え、とても綺麗だ。

「えへへ」

遥は俺の方を向いて、照れたように笑う。

そして、俺たちは互いの目を見つめる。

夕日がかかっている遥は、とても美しく見えた。

「はるか..」

「みやび..」

そして俺たちはどちらからともなく唇をよせてキスをする。

「ん..ちゅる..はんっ...」

何度もしたキス、しかし車内に夕日が差し掛かり、いつもとは少し違う様な気がした。



〜あとがき〜

Twitter始めました!是非フォローお願いします!

@asagiri_kouma

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る