温泉旅行編

第24話 温泉旅行準備

「ふぅ..やっと家に帰ってきたなぁ..」

俺は自分の部屋に入り、荷物を置きながら、呟く。

「さて、感想文だけでもやっとくか」

俺はそう言い、机に向かう。

俺たちは学校から林間学校の感想文を書くという課題が出されている。

「みやびー!さあ温泉旅行のために買い物行こぉ!」

すると、遥が雅の部屋の扉を勢いよく開け、そう言ってくる。

「え?今から?」

「うん!もちろん!」

今は午後2時を過ぎた頃だ。

まだ、買い物に行けない時間ではない。

「疲れてないのか?」

「うん!大丈夫!だから行こ!ね?」

遥は早く行きたい、と言った様子で雅の手を引いている。

「ああ、わかった、行こう」


ショッピングモールに来た俺たちは、まず何から買うかを決める。

「まずどこから行こうか?」

「うーんと、とりあえず服かなぁ..」

「服?」

「うん、新しいの欲しいなって」

「でも前も買ってなかったか?」

「まあね、でもいいでしょ?付き合ってよ」

「ん、了解」


「着替えたよ..」

そう言って遥は試着室から出てくる。

「おお!」

「どう...かな?」

遥は恥ずかしそうに感想を聞いてくる。

遥が着ているのは白いワンピースだ。

遥の黒くて綺麗な髪もあって、とっても似合っている。

「綺麗だ..」

「そ、そっか..ありがと..」

遥は紅潮させ、にっこり笑う。

そして、しばらくすると

「じゃ..じゃあこれにするね!買ってくる!」

と言って、レジに向かって行った。


「次はどこ行こうか?」

と、俺が聞く。

「うーん、そうだなぁ」

遥は少し考え込む。

温泉旅行の準備と言っても、着替えなどはおそらく向こうの人が貸してくれるため、俺たちが持っていく物はそこまで多くはない、それに、もし何か忘れても向こうで買えばいいだけだ。

なので俺たちは準備と言いながら、ただ買い物デートというものをしたいだけなのだ。

「えーんママ〜パパ〜」

俺たちがどこに行こうかと、話していると前方から声が聞こえる。

みると、小さな女の子が泣いていた。

(迷子か?)

「ねぇ、あれって迷子かなぁ?」

と、隣にいる遥が聞いてくる。

「たぶんそうだろうな」

「うん」

そう言って、遥はその子に近づいて行く。

「ねぇ君、迷子かな?」

と、遥は優しくその子に聞く。

「うん..」

その子は遥の方を向き頷く。

「じゃあお姉ちゃんたちと一緒に迷子センターまで行こっか!」

遥は俺に「いいよね?」

と言う風に俺の方を向く。

「そうだな、行こう」


迷子センターに向かっている途中

「ねぇねぇおねぇちゃん」

と、迷子の子が遥を呼ぶ。

「ん?なぁに?」

「おねぇちゃんたちって結婚してるの?」

そんな事を言い出す。

「ふぇっ⁉︎けっけけけ結婚⁉︎」

遥は突然そんな事を言われ、動揺が隠せていない。

「し、してないよ...まだ..」

遥は顔を真っ赤にしながら言い、こっちを見つめてくる。

「今からするか?結婚」

と、俺は冗談ぽく言う。

「えぇ⁉︎いい...の?」

遥は少し戸惑ってから、期待した目で見てくる。

「えぇっと..まだ高校生だぞ?」

「だ、だよね!うん、そうだね...」

遥は顔を更に赤くして、少し俯く。

「ふふっ、おねぇちゃん顔真っ赤だよ」

と、その少女は笑いながら言う。

「もぉ〜」

遥は恥ずかしそうに笑った。


しばらく歩いて、迷子センターまで来た俺たちは係員さんに事情を説明し、アナウンスしてもらった。

そして、しばらくすると、

「すいません!」

と、少女の母親らしき女性がやって来る。

「あ!ママだ!」

と、少女は立ち上がり、その人のもとへ走っていく。

「じゃあね!ラブラブなカップルさん!」

「っ〜〜⁉︎」

「おう、ばいばい」

俺は手を振る。

「な、なんで!みやびはそんなに余裕そうなの!」

「うーん、なんでだろうな、はるかの事が好きだから、とか?」

「な、なにそれ!意味わかんない!」

遥は少し怒りながら言う。

「だ、だったら...」

「っ⁉︎」

遥はそのまま俺に突然キスをしてくる。

「ふふっ全然余裕じゃないじゃん!」

遥は笑いながら言う。

「...参ったな」


その後、俺たちはある程度買い物を済ませ、家に戻った。

「おかえりなさい!みやび君!」

すると、美央が出迎えてくれる。

「ああ、ただいま」

「ご飯できてますよ、早く食べましょう」

そう言って、俺たちはご飯を済ませた。

「みやび、温泉っていつ行くの?」

と、遥が聞いてくる。

「ん?ええっと、そうだな..いつ行こうか..」

「なら明日行こうよ!明日!」

「え?明日?」

「うん!せっかく準備したんだし、ね?」

遥は早く行きたくてたまらない、と言った様子だ。

「うーん、そう..だな、明日行こうか」

「うん!」

そして、俺たちは明日、温泉旅行に出発する事になったのであった。

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