第21話 林間学校4日目(午前)
「...び..ん...やび...くん」「...び...やび...」
(...ぅん?)
誰かが俺を呼んでいる声が聞こえる。
「..んん..誰だ?」
「「みやび(くん)!!」」
目を覚ますと俺はベッドに寝かされていた。
どうやら、気を失ってそのまま運ばれたらしい。
俺の周りには遥と美央、その友達が俺を見ている。
「みやび!大丈夫なの⁉︎」
遥が心配そうに俺に聞いてくる。
「あ、ああ大丈夫だよ」
「みやびくん!ホントに..本当に大丈夫なんですか?」
今度は美央が俺に聞いてくる。
「うん、なんとも無いみたいだ」
「そうですか..ホントに..ホントに良かったです..」
美央は泣きそうになりながら、そう言う。
(本当にいい子だな..)
「そういえば阿部は?」
と、俺が聞く。
「あいつはむこうの学校に報告した」
すると、部屋に担任の柊が入ってくる。
「教師への暴力に加え、色々やってたみたいだからな」
と、続ける。
「そうですか、ちなみに俺は、どうなるんすかね?」
俺も暴力は振るったのだから、何か罰があるかもしれない。
「まあ大丈夫だろう、何かあったら私から説明してやる」
と言って、柊先生は部屋から出ていった。
時計を見ると日付が変わって、0時を過ぎた頃だった。
「そろそろ俺は部屋に戻るよ」
そう言って、俺は立ち上がろうとする。
「え?だめだよ!まだ安静にしてなくちゃ!」
すると、遥が俺の体を抑える。
「大丈夫だよはるか、もう動けるし」
「いや、でもまだ..」
「大丈夫だって、な?」
「うーん、そう?」
「ああ、ありがとうな、はるか」
俺は遥の頭を撫でる。
「えへへ」
遥は嬉しそうに笑う。
「じゃあ、おやすみ」
「うん!おやすみ」
と言って、俺たちはそれぞれ寮へ戻った。
「ふぅ」
そして、俺は寝ているみんなを、起こさない様に、気をつけながら、寝床についた。
朝起きて、俺たちは集合場所へと向かう。
「みやび、昨日は何してたんだ?帰ってこなかったけど?」
と、俺に誠司が聞いてくる。
「ああ、ちょっと色々あって...」
「そうか」
誠司はそれ以上何も聞いてこなかった。
「みんなおはよう!今日は少し残念なお知らせがある」
集合場所に着くとそんな事を言われる。
名前は隠されていたが、おそらく俺と阿部の事だろう。
他校と問題があった。という事だけを言って、詳細は控えてくれた。
「おお!水が冷たくて気持ちいい!」
俺達は今からあまご掴みをする。
そのために今は着替え、始まるのを待っている。
「昨夜はよく眠れましたか?」
と、後ろから声が聞こえる。
見ると、そこには美央が立っていた。
「っ⁉︎」
俺は美央の姿に少し驚く。
美央の着ている服は美央の体より少し大きいもので、胸の谷間が見えそうになっている。
「あ、ああ、よく寝れたよ..」
(なんで今日はそんな服なんだよぉ⁉︎)
「本当に寝れました?なんだかぐったりしている様に見えますが..」
美央が俺の顔を覗き込んでくる。
「だ、大丈夫だよ全然!」
「そうですか、ならいいですけど..」
美央が覗き込んだ瞬間、服が少しずれて谷間と下着が完全に見えていた。
美央の胸は女子高生の平均よりはるかに大きい、そのため男子高校生には、刺激が強すぎる。
「すぅーはぁーすぅーはぁー」
雅が気持ちを落ち着かせていると
「み〜やび!」
と、後ろから抱きつかれる。
「うわっ⁉︎」
みると、そこには遥がいた。
「えへへ、おはようみやび!」
「おはよう、はるか」
遥は、その健康的な足を惜しみなく晒していて、周りの男子達が盗み見ているのが、伺える。
「はい!では今からあまごを放します!捕まえれたら、こちらに持ってきて下さい!」
と、係員の人が言い、あまごを放す。
「うわぁ..上手く捕まえれるかなぁ..」
と、少し怖がっている遥。
「よし!捕まえました!」
一方、美央は意外にもたくましい様だ。
「みお、捕まえたんだな」
「はい!」
美央はそう言いながら、あまごを俺の方へ向け、見せてくれる。
すると
「きゃっ⁉︎」
あまごが体をくねらせ、美央の手から逃げる。
ビシャ!と、音がして俺と美央に水がかかった。
「だ、大丈夫か?みお」
「は、はいぃ..」
「そうか、よかっ..うわっ⁉︎」
美央の姿を見て、俺は驚く。
なんと、美央は水に濡れて、し...下着が見えているのだ。
「どうかしましたか?」
美央は気づいていない様だ。
「み、みお、その..下着が見えてるぞ..」
流石に放っておくのはまずいと思い、俺は注意する。
「...え?」
美央は綺麗な動きで自分の服を見る。
「ふぇっ⁉︎服が..透け⁉︎透けて⁉︎」
美央はそう言うと、そのまま胸を覆い隠す。
「ちょ、ちょっと着替えてきます!」
そう言って、美央は更衣室へと走って行く。
(不意打ちには弱いのかな?)
「みやび?何してんの?」
「ああ、はるか」
「全く捕まえられないよぉ...」
遥はまだ捕まえられない様だ。
「俺がやってみせるよ」
そう言って、俺はあまごを後ろから追い詰め、壁に追い詰める。そして、下からしっかりと掴む。
すると、あまごは簡単に捕まえることができた。
「ほら、はるかもやってみて」
「う、うん!」
遥は俺がやった様にする。
「やった!捕まえれたよ!」
遥は嬉しそうに言ってくる。
それから係員さんの所に行き、その場で味付けをした。
「美味しそうですね」
と、美央が言う。
「そうだな」
「みやびくん、食べさせて下さい!」
美央がそんな事を言い出す。
「ええ⁉︎」
「だめ...ですか..?」
美央が目を潤ませて見てくる。
(っ⁉︎おいおいそんな目で見ないでくれよ..)
「だめ!みやびは私に食べさせるから!」
すると、今度は遥がそんな事を言い出す。
(はるかまで⁉︎)
「えっと..みんな見てるから...」
「「関係ないよ(です)!!」」
なんでそこだけ息が合うんだか...
俺だって、食べさせてあげるのが嫌なわけじゃ無い、ただ、周りの視線が気になるのだ。
なんせ、2人とも絶世の美女だから特に男子からの視線がやばい、殺意すら感じる..
「うーん...まぁ..いい..か?」
「お!じゃあまずは私からー!」
と、遥は手を挙げながら、言う。
「いいですよ、私は後で構いません」
意外にも美央は、すんなり先を譲った。
「じゃあ、はるか、あーん」
「あーん...」
俺は、そのまま遥の口に、あまごを入れてやる。
「うん!美味しい!」
遥は笑顔でそう言う。
「でも、まだ美味しいのが残ってるなー?」
遥はそう言うと
「えいっ!」
すると、いきなりみんなの前で俺にキスをしてくる。
「きゃーーー!!」
女子からは歓喜の声があがる。
一方、男子からの視線は、更に強いものに変わる。
「んっ..はぁ..ちゅ...」
「えへへ、しちゃった」
遥はいたずらが成功した子供みたいな表情で、椅子に座り直した。
俺は羞恥で少しの間、固まってしまった。
「つ、次はみおだな!ほら、あーん」
すると、美央は
「いえいえ、私が食べさせてあげます!」
と言い、自分のあまごを手に持つ。
すると、美央はそれを自分で食べて
「ふぁい、どうぞ」
俺に、口の中のあまごを食べる様に、言ってくる。
「は⁉︎おいみお⁉︎それは流石に...」
色々まずいだろ..それは..
「みお!あんたねぇ!」
遥も怒っている。
「えー、順番じゃ無いですかぁ」
美央は笑いながらそう言う。
「くっ..その考えはなかった..」
と、美央は悔しそうにしている。
「いや..でもそれは流石に..」
と、俺が躊躇していると
「はむっ」
「っ⁉︎」「は⁉︎」「きゃー美央様ーー!」
俺と遥の声が重なる。女子はまたもや歓喜の声をあげている。
なんと、美央はそのまま、キスをしてきたのだ。
「んっ..ふぇ..ちゅる...」
「んっ⁉︎」
そのまま、美央は舌を絡めてくる。
「ちゅ...ぁ..ぁふ...」
美央は可愛い声を出しながら、俺の手を持ち上げ、その立派な胸に無理矢理当てる。
(っ⁉︎)
俺はその胸の柔らかさに驚きながら
「ぷはっ..ちょ!それは流石に...」
「ふふ、可愛いです..」
美央はそのまま、もう一度、唇を交わそうとしてくる。
「ストップ!!!」
すると、遥がギリギリの所で間に入る。
「ちょっと!やりすぎでしょーが!」
「えーいいじゃないですか、みやび君も嫌そうじゃ無かったですし」
「そんなわけないでしょ!みやびは迷惑してた!だよね?」
遥が俺に同意を求めてくる。
「いや..えっと..その...うん、もちろんだよ」
「あぁー!!ちょっと詰まったじゃん!もう!みやびのバカー!うわーん!」
そして、遥はその場で拗ねてしまった。
「わ、悪かったよ、ごめんなはるか?」
俺は必死に謝る。
「やだ!」
「そう言わないでくれよ、はるか、何でもするから!な?」
「...お...ん..こう.」
すると、遥がぼそっと何かを呟く。
「え?今なんて?」
「だから、温泉旅行!」
「温泉旅行?」
「そう!私と2人で言ってくれるなら許してあげる!」
「わ、わかった!帰ったら行こう!2人で」
「あ、あの..私は..」
美央が気まずそうに言う。
「あんたはだめ、家でお留守番だから!」
「そ、そんなぁ!酷いですよ!」
それから、遥と美央は少し口論になったが結局、美央はお留守番となった。
にしても、遥と2人で温泉旅行か...それは楽しみだな..
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