第7話 美央の過去
俺と美央は家に帰ってきた。
「さて、ご飯までまだ時間がありますし、少し話しませんか?」
「ああ、いいぞ、昔のことも気になるし」
「そうですね」
すると、何故か美央は俺の前に立ち服を脱がそうとする。
「お、おい」
と、美央を止めようとするが無言で服を脱がす。
そして
「後ろを向いてください」
「え?なんで?」
とは言いつつ、後ろを向く。
すると、
「この傷...」
と、俺の腰のあたりにある傷に触れる。
「ああ、それは、昔ちょっとな」
「えいっ」
と、言うと後ろから抱きしめられる。
「お、おい⁉︎」
「この傷は..刺されそうになってる女子中学生を助けた時にできた傷ですよね?」
「ん?ああ、まあな、でもなんでそんな事知ってるんだ?」
「私、あなたに助けてもらいました。」
と、美央が言う。
「え?...えー!?」
「...まじで?」
雅は驚き美央の方を向く。
「はい、ごめんなさい、あなたが起きている時に病院に行きたかったのですが、夜遅くなってしまって結局顔を見るだけになってしまいました。」
「へぇ、そうだったのか、助かって良かったな」
「...はい、私またお会いしたいと思っていたんです...それがこんな形で会えるなんて」
「そうだったのか、まさかこんな形で会えるなんてな、そういえばなんであんな事になってたか聞いてもいいか?」
「はい...私実はあの人とお付き合いしていたんです」
「え⁉︎そうなのか」
「はい、ですが色々あって私は、別れる事に決めたんです」
「そして、別れを切り出すと急に態度が変わってしまって...」
「別れを告げただけで、殺そうとするとかやべーなそいつ」
「はい、私、そのあと付き纏われたりして、とっても怖くて」
と、美央はその事を思い出したのか少し顔色が悪くなっている。
「そっか..怖かったな」
「はい」
「でももうそいつは刑務所行っただろ?なら安心だな」
「はい」
「それに万が一美央の身に危険が迫ったら言ってくれよな?知り合いとして力になるし」
「はい..好きです雅くん」
そして、美央が顔を近づけてくる。
「雅くん...」
美央は頬を赤らめながらそのまま雅の唇に...
「いやしねーよ?」
「え?」
「いまキスしようとしてなかった?しないよ?」
「み、雅くん!女の子に恥をかかせる気ですか⁉︎」
「いや...まず付き合ってないし」
「でも将来結婚するじゃないですか⁉︎」
「いや...俺はそんなつもりないし...」
「もぉ〜まだそんな事言ってる!」
と、頬を膨らませて怒っている。
「私の何が不満なんですか⁉︎」
「いや、不満とかじゃなくてだな...」
「私、遥さんより胸も大きいじゃないですか⁉︎」
と、言いながら美央は自分の胸を雅に近づける。
「...っ⁉︎おい!」
「私の方が胸大きいんですよ⁉︎私を選んでくれたらこのFカップを自由にできるんですよ?」
(え?F?確かにでけぇ、遥は...Aだな..)
「俺は胸で決めないから(キリッ)」
「そう...ですか...」
しばらくして美央が落ち着いたようなので、雅は、何か話題を振ろうと思った。
「そういえば美央ってすごい人気だよな」
「そうでしょうか?」
「ああ、周りに沢山人集まってたし」
「雅くんも来てくれますか?...」
と、美央が少し恥ずかしがりながら言う。
「いや..俺には遥がいるし...」
「休み時間に来てくれるだけでいいんです!」
「いや...でも...」
と、雅が困っていると
「だめ...ですか...?」
と、頬を赤らめながら上目遣いで見てくる。
「うう..わかった...時間が会ったら行くよ...」
「ありがとうございます!」
美央は顔をぱぁっと明るくしてにっこりしながら言う。
(...っ⁉︎)
美央の天使のような笑顔が不覚にも可愛く見えてしまった。
6時を過ぎた頃、遥からメッセージが来た。
[いま、学校の近くのショッピングモールに居るから迎えに来てくれない?]
[了解]
「というわけで、迎えに行ってくるよ」
「私も行きましょうか?」
「いや、家にいていいよ」
「そうですか、気をつけてくださいね」
「ああ、ありがとう」
俺はショッピングモールに着く。
(どこだ?)
雅が探しているとどこからか声が聞こえる。
「なぁ?いいだろぉ?」
「俺たちとお茶だけでいいから行こうぜ?な?」
(あれは...)
見ると遥が大学生くらいの男達に絡まれていた。
(うわ~ナンパかよ)
「早く行こうぜ?」
「い、いや、あの...人を待ってるので...」
「そんな事言っちゃって〜」
と、1人の男が言いながら、遥の手を引こうとする。
「よお、待たせたな」
「..遅いよ...バカ」
と、雅は言いながら遥の肩を持ち男の手を離す。
「はぁ?彼氏持ちかよ、つまんねー」
「行こうぜ」
「おう」
男達はそう言って足早にその場から離れていった。
「...いや〜すまんもう少し早く来てれば、あんな事にならなかったのにな」
「別にいいよ、雅のせいじゃないし」
「んじゃ、帰るか」
「待って、寄りたいところあるんだけどいいかな?」
「ん?ああいいぞ」
と言われ遥に着いていく。
「え?行きたいところって映画?」
「うん!やっぱりダメかな?」
「うーん、美央に連絡しないと」
「え?どうして?」
「いや、美央には迎えに行くだけって伝えてるから」
「じゃあ私から連絡するよ」
「え?連絡先知ってるの?」
「まあ...美央の友達と話してたら...成り行きでね」
「あー、じゃあ連絡しておいてくれる?」
「ん、了解」
しばらくして
「よし、じゃあ行こ!」
「おう」
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