クリスマスの、夜鳴きそば

 雪がちらつきだします。


 わたしたちは、夜鳴きそばの屋台までダッシュしました。


 寒いですね。こんなときは、温かいおソバに限ります。


「やっておるかのう?」


「らっしゃい! 開いてるよ!」


 ちょうど、全員が座れました。


「ラッキーだったね。もう閉めようかと思っていたんだ」


「ほほう。では、ソバを人数分」


 すかさずソナエさんが、「酒!」とオーダーします。


 エマやフレンも、便乗しました。


 結局、わたし以外の全員がお酒を追加します。


「あいよ!」


 夜中とは思えないテンションと手さばきで、おソバを茹でました。


 うわあ。音だけでもおいしそうですね。


 神官さんのあと、わたしたちにおソバが配られます。


 湯気を嗅いだだけ、もうおいしさが伝わってきますよ。


「おう、いっただっきまーす。いやー、うまそうだな」


 ソナエさんが、これでもかと七味をドバっと入れました。


 わたしは、多少控えめに。身体を温める程度にしましょうかね。


「いただきます」


 まずは、おツユから。


 これは、罪深うまい!


 ダシが濃いですね。寒さを凌ぐためでしょうか。かなりパンチが強いです。七味との相性も、申し分ありません。これは、麺も期待できますね。


 おソバそのものを、ズズズッと。ほら罪深うまい。歯ごたえも、ノドごしも、いうことなし。


 トッピングのカマボコに至るまで、完成されています。これらすべてがマッチして、このソバはできあがっていますね。


「追加トッピングで、エビ天があるけど?」


「いただきます。四本ください」


「一人、二つで十分だよ」


 店主が、指を二本立てます。


「いえ。四本ほしいです。わたしと、彼女の」


 わたしとソナエさんで、エビを四本ずついただきました。


 まずは二本、いただきましょう。


 罪深うまい。サックサクです。

 わたしにとってクリスマスの靴下はこれですよ。プレゼントなんていりません。エビ天さえあれば、わたしは幸せなのですよ。


「あの、かき揚げってあるかしら?」


「私も欲しいです、かき揚げ!」


 店主は「あるよ」と答え、かき揚げを調理します。


 わたしが頼んだエビの隣に、野菜たっぷりのかき揚げが揚がっていきました。


「エビ二本とかき揚げで攻めるのも、よかったですね」


「いや、いいさ。今日は、エビって気分なんだ」


 ソナエさんが、エビをワシワシとかじります。


 エマとフレンも、かき揚げをアテにお酒を楽しんでいました。


 神官は、おソバだけでお腹いっぱいなのでしょう。少し眠そうです。


「後で、わたしもいただけますか?」


「これも四個くれとか言わないよね?」


「まさか」


 かき揚げをいただきました。


 実に罪深うまい。エビの油っぽさを、中和してくれました。


 わたしにとってのクリスマスケーキって、かき揚げでもいいんですよ。このぜいたくは、罪の味ですね。


 エビ天とかき揚げを堪能して、わたしの素敵なクリスマスは終わります。


 ごちそうさまでした。


(クリスマスケーキ編 完)

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