ミニスカサンタは、罪な服
「いやあ、みんな素敵よ!」
「うむ。ワシの見込んだとおりじゃわい」
王女の喫茶店から戻ってみると、珍しい顔ぶれが、教会にいらっしゃいました。
カレーラス子爵と、ドワーフ神父様です。
神父様は、あごひげを撫でながら、眼前の光景に満足げでした。
「際どいわね。神父様のご要望っていうから、引き受けたけど」
「スースーしますぅ」
フレンが、ミニスカサンタ姿になっています。
「ミニスカサンタは、寒いからイヤなんでしょ? だから、トナカイにしてみたわ」
エマの方は、トナカイになっていました。
どのみち、トナカイもミニスカなんですね。タイツが茶色いだけで。
これは、
わたしのときより際どいですね。わたしは下に黒タイツを穿いていましたし。
フレンは白いニーソ、エマは黒ニーソです。
二人は派手めの下着を好んでいますから、風が吹いたら大惨事ですね。
エマなんて衣装が合わず、襟からブラチラしていますし。
「あ、ちょうどいいところにいたわ、クリスちゃん! コレを着てちょうだい」
子爵がわたしに、モコモコした衣装を持たせます。
拡げると、だいたい察しがつきました。
「またなんですね」
「そうよ。相棒も用意しているから」
相棒ですって?
「……」
「ああ、もう一頭トナカイが」
ソナエさんまで。仏頂面で、小袋を抱えていました。
「今日はどういったイベントで?」
「ここ以外の教会や、各家を周り、子どもたちに銅貨を配るのじゃ」
よく見ると、ドワーフ神父様もサンタさんではありませんか。白い袋を担いでいます。
子爵は、衣装係だったんですね。
「神父様が、クリスマスに子どもたちを喜ばせたいって。だから、協力させてもらったの」
「他のシスターたちにも、ミニスカサンタになってもらっておる」
罪な神父様ですね。趣味と実益を兼ねなさるとは。
「わたしはやるとは」
「終わったら、うまいと評判の夜鳴きそば屋台をごちそうしよう」
「やります」
即OKしました。
「やっす。あんたまじで安いな」
相棒のトナカイソナエさんが、呆れます。
「温かいものを食べられるんでしたら、なんでもやりますよ」
しかもおごっていただけるんでしたら。
「でも、交代しましょう。サンタとトナカイの役を」
「いいのか?」
「わたしはオタカフェのPRで着ましたんで。それに」
ソナエさんに、わたしは耳打ちします。
「着てみたかったんでしょ?」
実はソナエさんがカワイイ物好きだということは、わたしも知っていました。
「だからご不満だったのでは?」
「バ、バカ! 誰がそんな服」
「じゃあ、行きましょうか」
「着せろ! どうしてもっていうなら、着てやるから!」
素直じゃないんだから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます