第四部 シスタークリスと四季

流しそうめんは罪の味

シスタークリスと猛暑

「ホ暑ャア……」


 どうも、シスター・クリスです。


 この暑さ、どうにかなりませんかねえ。


 ジメジメした暑さというのは、どうも苦手で。


 わたしは木陰になっている草むらに、ダラーっと寝転がっています。Tシャツと短パンという、実にだらしなく自堕落な格好で。


 多少は涼しくなるかと思いました。しかし、セミの大合唱に寝られません。


「おーい、クリス。メシだメシ」


 ソナエさんが、庭までわざわざやってきました。やけに涼しい格好ですね。こんな朝っぱらからなんでしょう?


「いや、朝はもう済ませましたよ」


 労働者の朝食も支給し終えて、自分の朝ごはんも終わらせています。後のわたしはフリーですよ。


 今日のザンゲ室担当は、エマとフレンですから。


「近くの公園で、昼メシの支度をするんだ。手伝ってくれ」

「えーっ」

「いやいや、ガッカリするなっての」


 近所のお庭って言ったら、サジーナ・ジャンドナートさんの私有地ではありませんか。また何をする気なのでしょうか?


「後悔させねえから」

「わかりました。わたしが、いの一番に食べさせていただけるのなら」

「それでいいよ。サジーナを差し置いても食いてえ、ってんなら、自分で交渉しな」


 なんとも難しい注文ですね。とはいえ、ここで干からびているよりは有意義ですか。


 参りましょう。



 で、サジーナさんのお家でなにが始まったかというと、竹割りです。


「ホイホイホイ」

「ホワチャ! ホアチョ!」


 ソナエさんの投げてくる竹を、わたしはとにかく徒手空拳で真っ二つにしていきました。


「ホチャ! ホーワッタ!」


 パキパキ、と、いい音を立てながら竹を割っていきます。


「すごいすごーい」


 サジーナさんが、わたしの活動ぶりを見て興奮していました。個人的には、もう終わりたいくらいなのですが。


 ソナエさんの方は、竹をヒモでくくりつけています。竹の中もくり抜いていますね。なにが始まるというのでしょう?


 桶プールまでできています。サジーナさんは、水着姿でパシャパシャと水遊びをしていました。ハシオさんが、面倒を見ています。


「すいません、姐さん方。お手伝いできなくって」


 ハシオさんは詫びていますが、気にはなりません。


 姪の面倒は、最優先でしょう。咎めることなんて。


「よし、これで完成かな?」

「なにができたんです」

「流しそうめんだよ」


 そうめん! それはまた罪深そうなメニューではありませんか。


 ゼロカロリーと思わせておいて、その実、食べすぎて体重が増えてしまうのです。


 罪深き食べ物の、代名詞ですよ。

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