ギョーザは、作っている時点で罪

 ミュラーさんのパーティに入って、モンスター討伐を手伝いました。

 複数のパーティで行う、数日かけた大規模な狩りです。


 倒したのは、イノシシでした。これは、東洋料理に使うお肉だそうで。ただ食べるために殺したというより、種族が増えてしまって間引きする分だということです。


「ホワタ!」


 わたしがイノシシの足を蹴り飛ばし、他のパーティにトドメを刺してもらいました。


 これで、わたしたちのパーティもお肉をいただきました。


 わたしがもらった分のお肉は、教会に寄付します。明日はギョーザにするそう。楽しみですね。


 その後、わたしはミュラーさんのお家に呼ばれました。なんでも、今日取ったお肉をギョーザにするそうで、手伝ってほしいとのこと。できれば、お夕飯を一緒にできないかと。


 もちろん、行かせていただきましたよ。


「では、作り方を教えますね」とラナさんが言いました。ミュラーさんの奥さんです。

「よろしくおねがいします」


 わたしに続いて、ミュラーさんのお嬢さんであるホリーさんも「よろしくおねがいしまーす」と手を上げました。ああもう、存在が罪ですね。


「ギョーザの皮にアンを乗せて、余分なアンをボールへ戻しまーす」


 え、お水をノリ代わりにするのではなくて?


「この段階でアンの粘りが皮に付着するので、お水を付ける必要はありません」


 なるほど。合理的ですね。


「あとはつまんで、巻いていくだけです」


 ラナさんが、ギョーザの皮をうまい感じで巻いていきました。すごく上手です。まるで、お店で働いていたみたい。


 ホリーさんはまだ手が小さいので、ミュラーさんが手伝います。


 わたしも、ラナさんをマネしてギョーザをくるんでいきました。でも、どうしてでしょう。わたしが作るとデカくなります。


 これはもう、天性の意地汚さですね。煩悩がそうさせていると思いましょう。わたしのギョーザなんて食べたら、きっとわたしの食い意地が移ってしまいますね。責任を取って食べます。ああ罪深うまそう。


「焼きではなくて、お鍋なんですけど、大丈夫ですか?」

「はい。ギョーザなら、なんでも食べます」


 デザートで出てきても、平らげてみせますとも。

 それくらい、ギョーザは大好物です。


「あはは! シスターったら!」


 ラナさんが、ゲラゲラ笑っています。


「じゃあ、お鍋に入れていきますね。タレがちょいと辛いんですけど、平気?」


 わたしはタレを、味見しました。


「これなら、わたしでも大丈夫です」


 小さいお子さんもいるので、ホリーさんのタレは甘めにしています。念のため、わたしにも甘いタレを分けていただきました。


 お鍋の中で、ギョーザがうま味を拡散なさっています。


「ああ。待ち遠しいですね」

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