デートプラン 難航
再度、三人で話し合いになりました。
集合場所は、賑やかな居酒屋です。冒険者の酒場よりも、清潔感がありますね。周りの会話も、気になりません。冒険者酒場だと、どうしても知り合いなどに声をかけられてしまうので。
ソナエさんはボトルキープした酒瓶を手づかみしながら、ふてくされています。ここの常連さんなんだとか。
おつまみが、絶妙に
「どうすんだ? 無難に映画とかか? それとも最近できた遊園地とか?」
「お忙しいですから、そんな余裕があるかどうか」
「んだよ、八方塞がりじゃねえかよぉ」
ますます、ソナエさんがヘソを曲げました。
むむ、と三人とも腕を組みます。
「ところでクリス。そもそもあたしたちは、二人の馴れ初めを聞いていないんだが?」
そういえば、そうでしたね。
「ちょくちょく、護衛の依頼が来るそうです。話すとすれば、そういうときくらいで」
なまじ冒険者を派遣するより、信頼できる知り合いの騎士団にお願いするそうです。統率が取れているので、盗賊団相手でも安心できるとか。
「冒険者だと、攻撃力特化だったりして防御にまで気を回さないこともありますからね」
そのせいで、モーリッツさんがタンク役になることもあったそうで。
「昔とった杵柄、ってやつか。それで、騎士団に依頼していると?」
「値段は張りますが、商談相手を守る必要性を考えると」
「ハシオとモーリッツは、話すことはあるんだな?」
「簡単な日常会話程度なら。ですけど、他のお客さんもいますからね。お相手はたいてい、行商さんか貴族様だそうで」
主に、馬車内で商談や、アドバイスばかりだとか。
「自分で商品をおろしているんじゃ、ないんだな?」
「最近は、そうですね。商売人同士の仲を取り持つ業務が主流だそうですよ。あとは、どうすれば事業がうまくいくか、助言をしたり」
わたしがよく通っているオタカフェも、随分と知恵を借りているそうで。
「そっかぁ。商売人というより、コンサルなのかー。難しいな」
「人を相手にする、商売です。会話慣れは、しているでしょう」
「でもな、プライベート会話ってなかなか難しいぜ」
ソナエさんが、酒瓶をテーブルに叩きつけます。
「こうなったら、初撃でベッド・インだろ」
とんでもないことを、ソナエさんが言い出しました。
「段階飛ばしすぎでしょう! たいして話していないのに、合体とか!」
「いえ。常識ですわ」
「はあ!?」
わたしは抗議しましたが、ウル王女はそうでもない様子です。
「婚前交渉は、必然でございます。夜の生活を共にするのですから、肯定される方が多いんですの」
「そうなんですね?」
「はい。レスの主な原因は、『身体の相性』でもありますゆえ」
貴族と話す機会の多い王女は、そういう聞きたくもない裏事情を耳にするのだとか。
「事前に自分たちの相性がいいのか確かめないと、結婚に踏み込みません。結婚した後に相手の性癖が発覚し、幻滅されるケースもございますわ」
子ども帰りしてしまうケースも、あったとか。
夫婦がともに暮らすって、聞いただけでも大変そうです。
わたしには縁がないですね。
「ほれみろー、クリス。あんたは発想がお子様なんだよ」
「お子様で悪かったですね!」
あ、ちょっと待ってください。
「そうですよ。お子様ですよ! どうして、これに気づかなかったんでしょう?」
目の前にあるカルビ丼を見つめながら、わたしは天啓を得ました。
「どうしました、クリス?」
わたしは以前、ハシオさんのお屋敷に呼ばれたことを話します。
「BBQをしましょう。ハシオさんのおうちに、モーリッツさんを呼ぶんですよ」
おうちデートを、わたしは提案しました。
「口実は?」
「なんか、遊園地で子どもが喜びそうな催しできませんかーって。舞台できませんかねーとか」
初撃ベッド・インよりは、確実かなって。
ともあれ、作戦が決まりました。
カルビ丼の
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます