常連のお店で、罪をシェア

 食事が済んだら、観光です。リフレッシュと行きましょう。


 馬車に乗って、街の中を一周してもらいます。


 シスター業では、貧民街や冒険者ギルド、他には市場くらいしか往復しません。


 今日は、ただの女子として街をめぐります。今まで見たことがない、素敵スポットがあるかも。


「映画館ができたそうね」

「あれです。大きな建物ですね!」


 最近できた映画館を、通り過ぎました。内容が書かれた、写真つきポスターが張ってあります。恋愛映画のようですね。


「今度見に行かないかと、ウル王女から誘われていまして」

「いいわね! 行ってらっしゃいな」


 わたしのお目当ては、ポップコーンというお菓子なのですが。


「ポテチでも食べましょう」


 港で海を見つめながら、ポテチを開けます。潮風が気持ちいいですね。


「アレは、海産物を卸す船ですか?」

「そうですよ」


 木製の大きな船が、港につきました。大きな木箱を、何度も下ろしています。


「じゃあアレが、遊覧船ですね?」

「はい。お貴族様が、降りてらっしゃいますからね」


 ポテチをシェアしながら、海を眺めました。


 罪深うまいポテチは、時間を忘れさせてくれますね。


「できたてて、素晴らしい味だわ。こんなおいしいポテチ、誰から聞いたの?」

「ゴロンさんですよ」


 ウソは言っていません。実際、ゴロンさんもポテチの配達に向かいましたし。


「お昼にしましょう。ラーメン屋さんですよ」


 わたしだけなら焼き肉一択です。が、夕方から焼き鳥が待っていますからね。


 もう何度目かの、のれんをくぐります。


 相変わらず、ステフさんは忙しくしてらっしゃいました。繁盛していてなによりです。


「あら、ステフさん!」


 ステフさんに、フレンが反応しました。


「まあ、フレドリカお嬢様じゃありませんか!」


 なんとまあ、知り合いだったとは。


「さすが、王族出身だけあるわね」

「そうですね」


 実はフレンは、王家より修道院に来たのです。


 わたしたちは、テーブル席に案内されました。


「この間、ウルリーカお姉さまもいらっしゃいましたよ」


 お水を置きながら、ステフさんがフレンに告げます。


「そうなんですね。さぞおいしいのでしょう!」


 話を聞きながら、フレンはニヤニヤが止まりません。


「とんこつしょうゆラーメンのセットを三つ。から揚げを一皿ください」

「かしこまりました」


 店員さんが、注文を終えようとすると、エマとフレンが手を上げた。


「待って! エールちょうだい!」

「私も! 冷えたものを!」


 今日はチートデイですからね。お昼からお酒とか、もう罪深さ爆発ですよ。


「キンキンだわ!」

「ホントです! あーっ、お酒とラーメンって幸せの相乗効果ですねっ!」


 エールを煽りながら、二人はから揚げとラーメンを堪能します。


「夕飯は焼き鳥ですからね。お忘れなく」

「もちろんよ。心得ているわ」


 から揚げをエールと一緒に食べるエマの姿には、まったく説得力がありません。


 お酒が入ったので、おやつ時まで少し散歩してまったりします。


 その後、お湯をいただきました。


 観光者用に、スパができていたとは。


 おそらく王女のはからいでしょう。

 わたしが銭湯に連れて行ったから、思いついたに違いありません。

 エステなんて考えつくような人は、あの人くらいでしょう。


「生き返るわね」

「いつも、時間を気にして浸かっていますからね」


 教会のお風呂は大きいのですが、交代制です。

 何時間もまったりくつろげません。


 今日は、そんなことを気にしなくていいのです。


 心ゆくまで湯に浸かり、リラクゼーション・エステを楽しみました。

 といっても、予算的にアカスリのみですが。


 エマは、美肌コースへ行きたかったようです。

 けれど、わたしの財布が悲鳴を上げたので耐えていただきました。



 さてさて、では焼き鳥屋へ参りましょう。

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