第8章 アフターストーリー

ep31 年末

「カウントダウンどうしましょうか?」

「あーそっか、もうそろそろ12月31日かぁ」


今日は、12月30日で美波の肉屋でオレもなぜか手伝っている。なぜだ。そんなに人手不足か? お客さんも来そうにないので、美波とそんな会話をしていた。


「2年参りする?」

「流石に眠いですけど、カウントダウンしたいですねぇ。わたし、毎年ほぼ寝ているんで」

「最悪寝ても大丈夫なようにどっちかの家にする?」

「そういえば、蒼空くんの家に行きたいです」

「あーそういえば、母さんがあの頃に比べて美波を認めつつあるから大丈夫かもなぁ」


「蒼空くん、ありがとうねぇ、店番」


美波のお母さんが店裏からやって来て、オレにねぎらいの言葉をかけた。


「気持ち程度で申し訳ないけど……」


美波のお母さんが封筒にお金を入れて渡そうとしてきた。そこに入っているのは、1時間分の最低賃金だ。



「そんな受け取れないっす」


美波のお母さんは諦めた。


「まぁ、蒼空くん、美波のことよろしくねぇ」

「うっす」


12月31日の午後7時になった。


美波がオレの家でカウントダウンするために、家にやってきた。


「お邪魔します」

「ん、あぁ、今日、美波が来るって話したら、父さんと遊びに行って来るってさ」

「やっぱり、まだ認められてないんですね」

「いや、そうでもないよ? なんだかんだ、美波とどう?ってよく聞いてくるし」

「雨音さんとはどうなんですか?」

「んー? 雨音? そういや、最近、見てないなぁ」

「噂をすれば影という言葉もありますし、雨音さんの話題はやめましょうか」

「それもそうだな」


「美波、年越しそば作るつもりだけど、蕎麦はいける?」

「わぅ、そんな気を使わなくても、一緒にいれるだけでいいのに。でも、お蕎麦は好きですよ」

「じゃ、23時30分なったら、茹でるか」

「やった、蒼空くんの蕎麦が食べられる!!」

「まぁ、オレの蕎麦って言っても、普通に売ってるのを茹でるだけだけどな」

「ちっちっちっ、わかってないなぁ。お蕎麦茹でるにも水の分量とか出汁の水の量、ひとつで味が変わってくるんですよ」

「なんか2つくらい項目があった気がしたけど、まぁそこはツッコマんぞ?」




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