ep17 告白、そして…
「あれ?」
ふと、そこにアリイちゃんの声がした気がした。しかし、オレは今、アリイちゃんへのプレゼントの服を買いにレジに向かってるのだ。後ろ振り向くと、誰かがひょっと隠れた気がする。
「気のせいか」
はぁ、渡せそうにないプレゼントを買ってしまった。さっきから通りすぎる女の子がみんなアリイちゃんに見えて仕方がない。
「あれ? やっポリ、三条先輩?」
「アリイちゃん!!」
思わず喜んでハグしかけた。でも、呼び方がよそよそしい。そう、
「やっぱり……」
「さっき婦人服売り場でお会計してましたけど、誰に何買ったんですか? やっぱりヒミコ先輩ですか? ヒミコ先輩かっこいいですもんねぇ」
「いや、アリイちゃんに……。でも、受け取ってくれないよね。どうせ、オレは嫌われてるし」
「え、嬉しい!! でも、誕生日でもないのに、どうしてわたしに?」
「それは……オレが……アリイちゃんのことが……」
「わたしのことが?」
「アリイちゃんに……」
「わたしに? もう男ならしゃっきりしなさいな!!」
「オレは、アリイちゃんに初恋に落ちました。これからは美波ちゃんと呼びたいです!!」
「え……」
「ごめん、ホントはもっと雰囲気いいところでさ、言いたかったんだけど、こんな形で告白されるなんて想定外だよね」
「まぁ、想定外ですけど、美波ちゃん呼びくらい蒼空先輩になら大歓迎ですよ」
「それは……」
「もちろん、恋人になりましょう!! というかどうしてさっき嫌われてると思ったんですか?」
「最近、美波ちゃん冷たかったじゃない? それでWIREも返してくれなかったし」
「そりゃ恋人でもない人にいきなり電話したいだけ送られたらびっくりしますよ」
言われてみれば、オレもヒミコさんや美波ちゃんからいきなり「電話したい」と言われたら、びっくりする。
「それはゴメン」
「蒼空くんの彼女なんで、都合さえ合えば、というか都合合わせるんでいつでも「電話したい」って言ってください!!」
「ありがと!! というか、美波ちゃんはどうしてここにいたの?」
「あーわたしはなんというか呼ばれた気がしたんです!! そしたら、蒼空くんがいたんです」
「運命だったりしてね」
オレの初恋はこうして叶った。これがいつまでも続くといいといいんだけど。
山下 美波。 オレの初彼女だ。
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