ep16 こんな終わり方ってありかよ!!

「今が最悪の状態なら、今、何か手を打たないと関係修復なんてできないよ?」


ヒミコさんのこの言葉を聞いてとりあえずはアリイちゃんとの関係修復を目指して頑張ろう。しかし、無視されている理由がわからないことには、ことは解決しない。何はともあれ、WIREを送った。


電話したい。


その一言だけだったが、オレは送るのに何十分もかかった。Wi-Fiの都合ではなく、この文面でいいか? やはり面と向かって聞いた方がいいのでは? など様々な考えが頭を巡った。最悪の場合、ブロックされているのではないかとも考えた。


待てど暮らせどアリイちゃんからの返信は返ってこない。今までなら、送って10分以内には、返事は返ってきていた。ダメだ、絶対嫌われた。オレの先生になりたいっていう夢はそんなにダサいのか?



アリイちゃん……。こんなに人を好きになったのは初めてなのに、こんな終わり方ってあるのかよ。

待てよ? よくよく考えてみたら、これってオレの初恋だ。幼稚園の時は砂場でお山作るのが好きだった少年が、小学校は理科部でよくわからない物体を混ぜた児童が、中学校は1人で昼食を取るのをポリシーとしていた生徒が、高校1年は休み時間だけは寝ていた生徒が、高校2年になって、恋に落ちたのに……。


「こんな終わり方ってありかよ!!」


オレは自宅でそう叫んでアリイちゃんと過去に遊んだ大阪市内の動物園に向かった。しかし、今日は……臨時休業日だった。


「休業日……ハハッ、なんだよこれ。思い出にも浸らせてくれないのかよ!!」

「え、休園日……」

「アリイちゃん!? あっ、ごめんなさい、人違いでした」


そのまま、文化祭の前にアリイちゃんと来た、「さんくゆー」に行った。


「ほんと、いいよね、なんかアリイちゃんと来たの思い出す。つい、この間のような気がする」


確かに、まだ1ヶ月半くらいしか経っていない。それでも、その時は、まだアリイちゃんのことは「いい子」だなぁと思っていただけだったのに、いつからこんなに好きになっていたのだろうか? 「さんくゆー」のなかをぶらぶらしていると、女の子の服売り場でちらっと目に入ったのが、アリイちゃんに似合いそうだなぁと思った。すると、店員さんがオレに声をかけた。


「彼女へのプレゼントですか?」

「あ、いえ、彼女じゃないっす」

「でも、女の子へのプレゼントですよね?」

「まぁ、そうっすね」

「ともだ…ち、なんですけど、男物の服ならSサイズなんですけど、女の子の服のサイズだとどのくらいですかね?」

「そうですねぇ、このくらいのサイズですねぇ」

「あっ、じゃ、それプレゼント用にラッピングお願いします」






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