第4章 告白、そして…

ep14 恋煩いで早退!?

 大盛り上がりだった文化祭も終わり、気がつけば、この高校での初の中間テストだ。授業をマジメに聞いていたので、それなりの成績は取れた。でも、ヒミコさんや船原さんらとテスト結果どうだったと、話していても頭の中にいるのは、アリイちゃんのことばかり。


「転校せーい、なんか具合悪そう」

「船原さん、ありがと、ちょっと保健室で寝てくるわ」


オレはちょっと寝て、気持ちを切り替えようと思った。しかし、気持ちは切り替えられなかった。何があったかと言うと、保健室にアリイちゃんがいたのだ。


「あ、蒼空先輩……」

「アリイちゃんもしんどそうだね」

「ちょっと今朝から風邪気味で……」

「ハハッ、オレとはちょっと違うね。オレは……」


まさか本人に恋煩いだなんて言えない……。


「アリイちゃんの風邪、オレにくれ!! いや、アリイちゃんの全てと言わない!! アリイちゃんともっと思い出つむぎたい」


ゴニョゴニョオレが話していた。


「蒼空先輩……?」


「山下ー無事かー?すまんなぁ、なんか全職員会議に行ってた。あぁ、キミも風邪?」


保健室の先生が戻ってきた。


「ちょっと具合が悪いんで、少し寝ててもいいですか?」

「んあぁ、別にいいけど、さっきまで山下が寝てた後だけど」


オレは保健室の布団に入った。と言うかこの学校、保健室のベッドひとつなんだな。


なんか、背中に温もりを感じてオレは目が開いた。同じ布団の中でアリイちゃんが寝ている。オレは心臓がバクバク言って、さらに恋煩いが重症になった。


15分くらい経って、また保健室のドアが開いた。


「あれ? 山下とあの男の子、もう教室に戻ったか。わたしも少し眠いし、どうせ、滅多に誰も来ない保健室だし、事務仕事は大方終わったし、わたしも少し布団で寝るか」


保健室の先生はカーテンを開けた。


「わっ、お前らまだいたのか。というかXの字で寝てるや。いいねぇ、青春って感じで。見なかったことにして、わたしはコーヒーでも飲むか」


そのあと、5分経ち、はっと目が覚めた。横ではまだアリイちゃんが寝ている。どうやらその間に本当にアリイちゃんの風邪をもらったようで、オレは熱っぽさを感じた。いや、細菌の潜伏期間短いな。


「すいません、ゴホッ、今日はもう帰ります」


オレは転校して初めて学校を早退した。いや、学生になってから初めての早退だった。まぁ、風邪はもらったんだし、体調不良は体調不良だよな。


「蒼空先輩、お大事に〜」

「山下はもう大丈夫か?」

「なんか寝たらスッキリしました」


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