ep8 デート?<3>

アリイちゃんに勧められた「神サラサラにしますか?」の1巻だけ買った。アリイちゃんは、「せめて、5巻まで買いましょう」ととても勧めてきたが、オレの金銭事情も、オレに合うかどうかわからないマンガを5巻も一気に買うのは怖かったから、「とりあえず、1巻だけ買うね」と妥協案を提案して納得してもらった。


「マンガも蒼空先輩に布教できたし、満足、満足〜」


アリイちゃんは本当に満足そうだったが、しかし、これでは、何の為に電車に揺られて市内のここまで来たのかわからない。


「もしかして、そのマンガの布教の為にここまで……?」

「あぁ、違います違います。本来の目的は、文化祭の男子の衣装の参考にしたくて、男の人の服を買いに来たのです」

「それはさっきも言ったけど、こういうラフな格好だよ」

「蒼空先輩は、デート・・・でもラフな格好なんですか? こうフリルのついた服を着たりしないんですか?」

「フリルって、アリイちゃん、やっぱ面白いね。男はフリルは着ないよ」


「えーでも、先輩がさっき買ったB17をちらっと見ましたけど、<男のギャップを狙って、手首にフリルつけてみよう>っていう記事もありましたよ? ギャップ萌えさせてどうするつもりですか? 女の子を手玉に取るつもりですか?」

「いや、オレは……」

「言い淀みましたね? ほーら、先輩見失見損いました。先輩は罰として、今日わたしのいうことを絶対聞くこと!!ヒミコ先輩に告口されたくなかったら!!」

「はぁ、もう好きにしてくれ」


呆れた口調で言うと、また、ぷぅ〜と頬を膨らませた。


「先輩のバカ、突っ込むところふんだんにふんだんに盛り込んだのに……、盛り込んだのにどうして突っ込んでくれないの!!とりあえず、あの服屋さん行きますよ」

「はいはい」


これではどちらが先輩なのか、どちらが男なのかわかりにくくなってきた。いや、一応、年齢的にオレの方が先輩だし、生物学的にも男なのだが……。


「先輩!! この服先輩に似合います!! 文化祭の先輩の女装はこれで行きましょ!!」

「ちょっと、それは……」


断ろうと思ったが、よく考えてみたら、衣装を一緒に買いに行ってくれそうなのは、アリイちゃんかヒミコさんだ。ここで衣装を決めるのもいいかも? と思った。アリイちゃんに言われた服を買い物カゴに入れた。


「さて、わたしはどんなカッコウして欲しいですか?」

「あー、萌え袖みたいになるように、ちょっと大きめのとこアリイちゃん似合うんじゃない?」

「結局、先輩も萌え好きなんですね!! まぁ、わたしも萌え袖には興味ありましたけど」


「なぁ、アリイちゃん、なんでそんなに怒ってるの? せっかくの買い物が楽しくなくなるよ?」


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