第2章 アリイちゃんとデート?

ep6 デート?<1>

「さて、山下さんや」

「はい」

「オレを駅前に呼んでどするつもりだ?」

「男の人の服持ってないし、友達もいないので、せめて男の人がどんな服着るか知りたいのもあって……」

「あ、はいはい。なるほどね。ご覧の通り、こんなラフな格好だよ」


山下ヤマシタさんはむぅ〜と頬を膨らました。

そう、オレと山下さんは、駅前にいる。駅近くには、大規模なショッピングモールがある。おそらく、そこにオレを誘いたいのだろうか?


「さて、三条先輩は……2人の時は、蒼空ソラ先輩って呼んでもいいですか?」

「ん? いやいやいや。それはちょっと……」


またむぅ〜と頬を膨らました。こいつ山下さんはこれをすれば、男はイチコロとでも思ってるのか?


「あぁ、わかったよ」


オレも女子の頬膨らませにはイチコロだった。


「やった、さすが……」

「んじゃ、わたしはアリイでよろしくお願いします」

「えっ?キミは山下 美波ミナミじゃなかったけ?」

「いやぁ、本名はそうですけど、そのーSNSの名前ですよ!!」


言われてみれば、同じ中学の先輩の希咲キサキさんもアリイちゃんと呼んでいたな。


「了解、アリイちゃん」

「ちゃんまでつけてくれるんですか!! やった」


さっきから、この子は何に喜んでいるのだろうか? そんな疑問も抱きつつ、駅前から一歩も移動していないことに気づいた。


「ねぇ、アリイちゃん、そろそろ目的地、教えてくれない?」

「電車乗って市内にでるか? それとも、この駅前でチラッと服見て、動物園まで行くか?」

「んー、ん? それって結局、市内に出ない?」

「あはっ、バレたか。切符は…後で買いますから!! お金返してほしいから!!」

「はいはい、とりあえず、市内行こうか」

「やった、蒼空先輩は今日はわたしのもの」

「いや、別にオレは誰のものでもないから……」


そんな会話をしているうちに、オレとアリイ山下 美波ちゃんは電車に揺られて、大阪市内に出てきた。

電車内の様子は普通に先輩と後輩の会話はなかった。でも、すごくアリイちゃんは楽しそうに話をしてくれていた。


そして、辿り着いた大阪市。


なんだ、もっと大都会と思っていたら、そこまで都会ではなく……と思ったら、

改札を出たら、建物の大きさに驚いた。


「さすが、都会だなぁ」

「え、これでも田舎ですよ?」





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る