ep5 合同模擬店!?

「文化祭だが、今年は大規模に模擬店をやろうという話にさっきの職員会議で決まった。例年あるものは禁止だな。するってぇと、バザー、フリマは禁止だ。今年はさらに面白いことに、1年4組と2年5組がコラボすることになった。2年生として恥じぬようにしっかり色々教えてやることだ」


ん?1年4組? オレはぼんやりさっき、クラスを間違えた山下ヤマシタ 美波ミナミわざと・・・間違えたのでは? と勘繰ってしまった。


「そうだ、今日から文化祭までの期間、午後の授業は文化祭の打ち合わせになるぞ。そうだ、先生たちも今年は大規模にしようと必死なんだ。もし、文化祭、特にやる気ない奴はこの期間だけ午前授業で帰っても成績に響かないから、やる気ない奴は帰れよ」


その日から、文化祭の打ち合わせが始まった。1年4組の生徒がゾロゾロ2年5組の教室に来た。


「あれ?デジャブ」


山下さんが教室に来て、ボソッと言った。


「わっ、ヒミコ先輩に、三条先輩!!」

「アリイちゃん、いらっしゃい」

「よっ!!」


ガヤガヤと2年5組の男子がざわついた。


「これって修羅場じゃないか……」

「そうだよな、三条の二股かけてる相手、2人ともそろったもんな」


朝の山下おバカな後輩のやりとりを見ていた男子がボソッとオレにも聞こえるくらいの声の大きさで話していた。その辺のガヤは気にしないことにしよう。


「男子はバカなこと言ってないで、何やるか考えろー。まぁ、考えのは女子もだけどな」


そして、どんどん意見が出て、色々話し合った結果、オレたちの模擬店は、カレーということになった。それでは、面白みにかけると思った2年4組の誰かが出した、男女交換衣装も一緒に採用となった。そもそも、男女交換衣装は、男子は女子の格好、女子は男子の格好をするということだ。さらに話し合いが進み、調理は男子、お金もしくはチケットとカレーを交換するのは女子の役目と決まった。そして、衣装交換も、実費で異性の服を買うとなった。貸し借りするのもあり、ということだ。


では、何カレーにするか? その話し合いが始まろうとしたところで、文化祭の打ち合わせの時間が終わった。そのまま、1年4組も一緒に帰りのホームルームにいた。そして、放課後。


「なんだかんだで楽しくなりそうだね、空くん」

「そうだよな」


「あの三条先輩……」



山下さんが恥ずかしそうにオレに話しかけて来た。


「ん?」

「わたしに付き合ってください!!」

「は?」

「ちょっと、アリイちゃん!?」

「いや、その、結婚前提とかじゃなくて、恋愛の付き合ってじゃなくて……。男女衣装交換のことで……。」



あっ、そっちのことね、と希咲さんはホッと胸をなで下ろしていた。しかし、どうしてクラスメートではなくて、オレなのかが不思議だった。


「まぁ、わかったよ」

「ありがとうございます。またWIREしますね」


山下さんはそのまま下校した。オレも帰るか。そう思い、家に向かっていた。けっこう、ここの文化祭は楽しくなりそうだ、という期待を胸に膨らませていた。

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