ep4 お似合い?


「……」

「転校せーい!!」


転校して1週間くらい経っているのに、未だに、オレのことを「転校せーい」というのは船原フナバラさんだ。


「後輩の山下さんのブラを無理やり剥ぎ取って、自宅で洗濯した。なんて変態!!What. 変態!!許されざる罪」

「船原さん?? オレ、そんなことする様に見える?」

「ふっ、人は見かけじゃ判断しちゃいけないんだ」

「それはそうだけど、つーか、ホントにしてないし。あれは山下さんのブレザー・・・・の言い間違えで」

「そうかそうか、転校せーいは、文化祭のテーマ決めた?」


船原さんは何か納得して、オレの横の……違う、オレの席に座った。


「ん? 何かいつもより視線が右に寄ってる」

「そりゃ、船原さん、そこのひとつ左だからだよ!!」

「おー後輩のブラを取った転校せーいの席だったのか、ごめんごめん」

「だから、それでイジるな!! あれはブレザー・・・・だし」

「おはよう」


そこに現れたのは、おバカな後輩と思っている山下ヤマシタさんだ。それに、この時間は朝のホームルームの前だ。どうして、その時間に後輩の山下さんがこの2年5組の教室に来るのだろうか? 美術部の用事だろうか? しかし、それには、あたかもクラスメートに挨拶する感覚で「おはよう」と言っていた。


「あれ? 蒼空先輩?? どうして、1年4組にいるんですか? はっ、わたしに会いに来てくれたんですか?やだなぁ、美波照れちゃう」

「いや、待て、冷静に外のクラスプレートを見て。転校生のオレでもわかるくらいはっきりと2年5組と書いているぞ」

「えー、そんなことないですよ」


まさか、オレが間違えているのか!? そう思って、外のクラスプレートを見に行った。外のクラスプレートに書かれていたのは、「2−5」だ。


「よーくみろ、2−5だ。おバカ」

「バカとはなんですか!!」


「おいーっす、空くん」

「ヒミコさん!! このおバカな……」

「あれ? アリイちゃんじゃん。どうしたの?」


そこに来たのはノリのいい女子のクラスメートの希咲キサキさんだ。え、待って。「アリイちゃん」? 希咲さんと山下おバカな後輩は知り合いなの?


「ヒミコさん!! それがですね、この三条先輩がここを2年5組だって言うんです。ここ、1年4組ですよね?」

「ん?」

「あははっ。アリイちゃん、1階間違えてるよ」

「えーまた1階あがらないといけないんですね」

「そういうことだ、頑張れ、若者」

「若者って」

「精神年齢46歳なんだけどなぁ、後輩のセンパイ」

「後輩の先輩いうな、ややこしいだろ」


そのままぶつくさ上がっていった山下さん。あれ? あの子の名前って山下 美波だったよな? 希咲さんはさっき「アリイちゃん」と言っていた。どういうこと?


「な、ヒミコさんや」

「なんや、空爺」

「同い年に爺言われた……。まぁ、それはさておき、山下さんとは知り合いなの?」

「おっ、惜しいなぁ。ノリツッコミまでもう少し!! アリイちゃんはウチに憧れてここに来た子だよ。まぁ、アリイってのはtogetherでの名前だけど、ね」

「どういうこと? 憧れるところある? ヒミコさん」

「むっ、お主を呪い殺してやろうか……」

「わっ、急にバカにしたからって呪わないでーって違う。ヒミコさんに憧れてこの高校に来たってどういうこと?」


このあと、希咲さんの自慢話を15分強聞いた。簡潔にまとめると、希咲さんは山下さんの中学時代の部活の先輩であまり聞かない部活名だったがそこで部長を務めていたらしい。しかも、学力も優秀だった。ちなみに、この高校の偏差値調べたら、平均くらいだった。あれ? そこまで優秀じゃないんじゃ……。希咲さんが引退する時、山下さんは「絶対、姫巫女ヒミコ先輩と同じ高校に行きます!!」と宣言したらしく、そして、この高校に入学してきたらしい。なんというのか、異性の憧れの先輩をおかっけてきたみたいに見えるけど、希咲さんと山下さんは同性……。まさか、禁断の恋愛か!?


「あっ、空くんの思ってるような禁断の関係とかはないよ? むしろ、空くんとアリイちゃんお似合いじゃないかな?」

「オレ、年下興味ないんで」、

「うわっ、空くんゲツメンー。年齢で判断するんだ」

「それは幻滅な」

「ほら、そこ、そこがお似合いかなぁと」

「ん?」

「そのボケにちゃんとツッコむところ。あの子、天然だからねぇ。ま、アリイちゃんを傷つけるようなことしたらうちが空くんを許さないからね」



それはないと思うけど。と答えようとしたところに朝のホームルームの為に担任の教師がやってきた。


「文化祭のことだが……」

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