第2話 古典サブカルの爆発ブームで古参ファンは肩身の狭い思いをしている
タイトル通りの事なんですが、令和になってから、古典のサブカルチャーがようやく日の目を見ている状況となっている。
最たる例としては特撮が多い模様。
その口火を切ったのか2016年公開の「シン・ゴジラ」。今年で5周年。
ゴジラが最終作として銘を打たれたのは、2004年の「ゴジラ FINAL WARS」。
「あずみ」を世に送り出した北村龍平監督が珍しく怪獣映画のメガホンを取った事で話題にもなっていましたが、興行成績だけで見ると当時は大失敗の扱いをされていた。
この時東宝が目標にしていたのは“シリーズ累計観客動員数1億人突破”。
これは映画史上前例のない目標であって、当時で達成していたら今のゴジラの盛り上がりは違ったものになっていた可能性はあるだろう。
しかし結果としては”シリーズ中興行成績ワースト3位”。
音楽でキース・エマーソンを採用し、出演陣もとんでもなく豪華メンバーだったけど、凋落が見え始めていた、ミレニアムシリーズとされた21世紀ゴジラの締めくくりは寂しいものになってしまった。
現在ではこの作品は再評価され始めている。
放映当時から物議をかもした1998年のトライスター版ゴジラが出演しての“日米ゴジラ対決”が遂に実現したものの、わずか十数秒で終了、北村一輝扮する宇宙人のボスが言うセリフ「やっぱマグロばっか食ってるのはダメだな」が今でも語り草で98年米版ゴジラのやり玉に挙げられている。
それから12年、ゴジラは文字通り沈黙していた。
それを破ったのが「シン・ゴジラ」で、昭和のシリーズも含めて観客動員数がシリーズ通して歴代5位と、平成ゴジラ作品の中ではぶっちぎりの1位。
更にこの作品から大いに目立ち始めたのが、“リピート鑑賞”。
怪獣映画でリピート鑑賞するのは以前から見受けられたものの、やはり言うところの真正の“ガチ勢”しか見受けられず、一般レベルで行っている者はほとんどいなかった。
結果、この作品から“内容を理解するまで繰り返し何度も映画館に足を運ぶ”という昭和、平成前期では考えられないような映画鑑賞がメインになり出している。
そして特撮ではゴジラが元気になると他の特撮ジャンルも相当に元気になるジンクスもやはりある模様。
仮面ライダー、戦隊シリーズはこの“特撮氷河時代”を乗り越えた数少ない存在だが、こちらもてこ入れでそれまでの間に何度も試行錯誤を繰り返している。
仮面ライダーは地道に新機軸を徐々に取り入れ、盤石なファン層が出来ている。
戦隊シリーズも同じく、昔からある“モチーフ基”が被っても既存の作品とはしっかり被らせないよう慎重かつ大胆に作り上げている。
その中、冷遇時代から一気に目覚めたのがウルトラマン。
2000年代に入ってから予算削減を喰らいまくる憂き目に遭い、「ウルトラマンメビウス」以降作品が7年途絶え、クール数を大幅に縮小して「ウルトラマンギンガ」として復活するも、途上が苦難の連続。
他の特撮に比べて“1話の予算単価が高額”と、昔からテレビ局が難色を示す事が多く、おそらくテレビ放送特撮では一番“大人の事情に振り回されている”シリーズ作品と言ってもいい。
逆にクール数を縮める事に功を奏したのか、2013年の「ウルトラマンギンガ」以降、シリーズが止む事無く現在も続いており、コロナ禍に重なって放映された「ウルトラマンZ」が爆発的に人気を博して星雲賞を受賞する快挙。
最終話のYouTube配信では156万再生行くという全シリーズ通して見てもおそらく最高記録の数字を出している。
昔から、特撮はよく“浪漫溢れる夢の作品”と言われていて、やはりと言うか“世情が色濃く反映されやすい作品”とも言える。
1954年の初代ゴジラも、元を辿れば第五福竜丸事件が国際問題にまで発展した時期。
かつて最大敵国だったアメリカと、サンフランシスコ講和条約を締結して十年余りで日米融和が見て取れる時代に、第1回“キングコング対ゴジラ”。
1回目の東京オリンピックで、敗戦から再起して、スポーツを通して新たなヒーロー像が発現した時代、1966年に初代ウルトラマンが現れる。
1970年代には、冷戦が長く続いた事で緩慢な緊張状態が世界を覆い、大阪万国博覧会でムーブメントが起きる中、日本では連合赤軍が大暴れしていた時期でもあり、“身近な脅威”が日本を覆っている時世に等身大の悲劇のヒーロー、仮面ライダーも現れ、続いてゴレンジャーも現れる。
何かしらの背景から、特撮が生まれていた。ヒーローが生まれていた。
「シン・ゴジラ」は脅威として描かれているわけで、更に直近では東日本大震災と福島第一原発事故が発生していて、“天災と放射能の恐怖”のダブルパンチが日本を覆ってまだ記憶に新しい時期に出されている。
そう表現された偶像に、昔からずっとファンでい続ける古参達がいるのもしかり。
特に特撮がかなりオタクと言われ馬鹿にされた時期は80年代~2000年代。
1989年の東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件で曲解報道されたのもあり、オタク=犯罪者予備軍のレッテルを貼られ始めたのもこの頃。
子供が見る物を何故いい大人が。
これにより特撮界隈も鳴りを潜め、冷遇されている。
この頃からファンだった人たちは凄く苦しい思いを強いられていた事だろう。
自分もその一人であって気持ちが凄く分かる。
この昨今、オタク文化が一般レベルまで浸透していたので、オタクと一括りにされるような事はなくなり始めているが、今度は“ガチ勢”と“にわか”が現れる。
特に“にわか”に至っては、ただの“にわか”とも言い切れず、単にトレンドを過剰意識する“流行には後れたくない”タイプの人種がよく見受けられる。
実際、よくこんな会話がある。
「ゴジラの2作目のアニメでオススメされたから、昭和の最初のやつ、やっと見れたよ!」
「昭和のメカゴジラ?」
「そうそう!怪獣3体も出てたじゃん!!」
「お、しっかり見てるwww」
「ゴジラ1体だけでよくぶちのめせたよなあ、完全にやり返した感がスゴイw
てかメカゴジラ全然大した事なかったじゃんw
しかもかなりカクカクな動きだから何か迫力なかったってw」
「あ、それ「メカゴジラの逆襲」だね。
メカゴジラ見るなら最初の「対メカゴジラ」の方を観なきゃね~。
あっちの方がゴジラ大苦戦してるからwww」
「え、そうなの?」
「しかも観る順番間違えてるって!
あれ珍しく続き物になってるとこあるから、順番に見ないとわけわかんないよ!
それに、あれ昭和の作品だよ!
あの当時であれは逆に凄すぎるって!!
CGなしであれだけの事してるんだぜ!!」
「・・・そうだんだ(だからオタクって嫌い)」
これに近い体験、自分も経験がある。
順番を平気で間違えて観る。
自分が見たものが正しい順番。
今の撮影技術の基準と昔の作品を当たり前に比べて貶す。
これで自分の事をオタクと自称しきるものだから始末に負えない。
ここで古参の方が訂正に入ると、露骨に嫌な顔をする。
これが二十年前だと、まるで見向きもせず全否定を繰り返したコンテンツに今更嵌ったかと思えば古参勢に対してマウントを取ろうとする。
しかし古参の方は数十年好きでい続けているからマウントを取るなんて絶対に不可能。
敵わないと知るや露骨に嫌な顔をする。
これで本当のファンとかオタクとか言えるのか。
ライトノベルでも同じ事が言える。
異世界転生モノ、随分古いものでは1990年後半から存在している。
自分が愛読していた数少ない異世界転生の要素がある作品は、狂気太郎先生の「カイストシリーズ」。
検索してはいけない言葉で有名になった、残虐描写や闇深い心理描写で有名になったかなりの古参なWEB作家であるが、この「カイストシリーズ」を書き始めたのが現在確認が取れるものでも1998年。
今よく見られる“現実世界で死亡して異世界に転生する”と言うテンプレート設定とも随分異なる要素であるが、それでもこの“転生”をここまで情報量多く書ききっている作家はそうはいないと思う。
今判明しているだけでも100億年以上の年表になるシリーズなので、時空恐怖症の方には厳しいかも知れない。
自分はこの“超遠大すぎる転生”を読んでしまったが為に、余り異世界転生を書こうと言う気になれない。
このシリーズの場合は“異世界転生”の一言に括る事は出来ないのだから。
何が言いたいのかと言うと、出版側がテンプレート乱発増産をし過ぎているせいで、ライトノベルがただの“消費流行物”に凋落し始めている。
自分が初めて読んだライトノベルは「リアルバウト・ハイスクール」シリーズと、「ヴァロフェス」。
今のライトノベルの感覚で見ても、本当に純文学に近い。
セリフが少ないのである。
時代の変容と言えばそれまでなのかもしれないが、擬音語多用のセリフのみの校正されたページでは、稚拙さはどうしても拭えない。
思いきるなら、馬路マンジ先生ぐらいに吹っ飛び切れる方が良いだろう。
故に昨今の表現会は中途半端すぎる。
それに表現でも自主規制が相変わらず凄まじい。
表現を容赦なく好き放題に書くには18禁指定するしかないのか?
いや、批判してくるのは所詮、自称市民団体が関の山。
炎上覚悟とか云々の前に、人の批判の目を気にして書くようでは、日本の表現は死ぬ。
ある意味、中途半端に締め上げられてる分、言論弾圧と同じベクトルである。
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