第1152話、単機無双
その強力な光の束は、全長300メートルに達するスティグメ帝国戦艦の艦体に直撃した。
強固な戦艦の装甲を簡単に溶かした一撃は大爆発を引き起こさせ、轟沈させた。
「次!」
俺はすぐに左腕のマギアブラスターを発射。2隻目の敵戦艦に命中させる。艦体を舐めるように溶かし、艦橋を消滅させると、機関部が巨大な火球を生み出した。
「2隻目!」
敵も攻撃に気づき、襲撃者を探す。
だが残念、タイラント・ヘビーアタッカーは、もう艦隊の中に今まさに飛び込むところまで来ている!
「クリエイトミサイル!」
『対象44。ロックした!』
ディーシーが知らせる。モニターの中では多数の敵機が赤枠に収まっている。発射、発射、発射だっ!
ファルコン本体のミサイルポッド、脚部のランチャーからミサイルが一斉に放たれた。それらはロックオンした目標に向かって、白い
小型ミサイルは敵スカルヘッドやヴァンピールといった魔人機に命中して、火球へと変える。
対艦ミサイルは、敵クジラ型フリゲートに突っ込み、爆発した。
ロックした七割を撃墜。残りは被弾、損傷しよろめいたり、立て直しの最中のようだ。
「結構やったな!」
俺はタイラント・ヘビーアタッカーを旋回させる。あまりの高速力に、すでに敵艦隊の間を突っ切ってしまったのだ。
敵さんは混乱しているようで、まだこっちに向かってくる敵はいない。
「畳み掛ける!」
旋回しつつ、腕部のマギアブラスターを手近なドラゴンクルーザーに向け、発砲! 後部をエンジンブロックごと失ったドラゴンクルーザーは地表に向かって墜落を開始する。
『主、敵機、複数向かってくる!』
さすがに敵も気づいたようだ。ミサイルモニター――クリエイト完了!
俺はタイラント・ヘビーアタッカーを急速ターンで、敵集団を正面に捉える。
「魔力装填されるから、ミサイルはいくらでもあるんだぜっ!」
ロックオンした敵機に片っ端からミサイルをお見舞いしてやる。魔法
生成する魔力が高めの障壁貫通ミサイルだが、シードリアクターの膨大な魔力があるから、それらを気にすることなくバンバン生成できる!
スカルヘッド、ブラックバットが次々にミサイルに絡めとられて四散する。敵魔人機も腕や脚をもぎ取られ、あるいは胴体を吹き飛ばされて残骸と化す。
「艦艇退治だ!」
最後の敵戦艦にマギアブラスターを放射。両腕、計2門の最強火力を浴びては、ひとたまりもない。
タイラント・ヘビーアタッカーの背部ユニット、その両端についたプラズマカノンが小刻みな連射で、敵フリゲートを撃ち抜いていく。
敵の反撃の火線が伸びる。しかし高速で機動するタイラント・ヘビーアタッカーに、敵魔法砲はかすりもしない。
「とっ!」
正面に反転した敵クルーザーがよぎり、俺はとっさに操縦桿を倒して回避した。
「さすがに敵艦隊の中だと、細かな動きを要求されるな」
だがスピードがあり過ぎて、言うほど小回りは利かない。まあ、これはタイラント・ヘビーアタッカーだから、というものでもなく、高速で移動するものならどれでも共通することでもある。
「それに――!」
敵艦の裏から、敵魔人機が飛び出してくる。
「小賢しい!」
追加肩アーマーに取り付けられた30ミリバルカン砲が唸りを上げて近接防御。蜂の巣になった敵機が潰れた虫のようになってバラけていく。
ファルコン本体の上部の格納式プラズマカノンがせり上がる。そこから放たれたプラズマ弾は、敵クルーザーの防御シールドを貫き、本体に直撃する。
「戦艦クラスのプラズマカノンだ。巡洋艦じゃ、ひとたまりもないだろう?」
『下方より、ヴァンピール3機』
「それで死角を突いたつもりか!」
遠隔攻撃ユニットを3基射出。目標を与えられたビット兵器は、ミサイルよろしく突進。結界水晶による結界を展開すると、敵弾を弾きつつ体当たりをぶちかました。
風の魔神機セア・エーアールのエアビットと同様の直接切り裂き攻撃だ。
「あー、くそ。やっぱ実際にこの数をやるのは大変だわ」
クリエイトミサイルをばらまいて、さらなる敵機を撃破。
「だが、単機だからこそ、誤射を気にせず暴れ回れるってもんだ!」
マギアブラスター、拡散モード。フリゲートもろとも狙撃してくる敵魔人機を破壊する。
『味方がいる場所では、このような戦い方はできないからな』
ディーシーが皮肉げに言った。
『威力があり過ぎて、巻き込んでしまう』
味方機の位置を把握しながらでは、こうも武器を乱射できない。
誤射、流れ弾。たとえばマギアブラスターなどは、かすめただけでも大ダメージだ。味方機も容易く撃墜してしまう。
単機突入の強襲兵器とはよく言ったものだ。
「だいぶ片付いたか……」
残っているのは艦艇ばかりか。だがタイラント・ヘビーアタッカーの機動性の前じゃ、艦艇は的も同然!
敵魔法砲をかいくぐり、マギアブラスターやプラズマカノンで撃沈していく。敵弾が当たったが防御シールドで無効化。機体への損傷はなし。
戦闘はもはや残敵掃討のレベルか。タイラント・ヘビーアタッカー……大したものだ。
やはり、シードリアクターの力は絶大だ。通常動力の機体じゃ、マギアブラスターを連射なんて不可能だし、クリエイトミサイルを十数発同時使用しながら装填速度もここまで早くない。
これで猛スピードで飛び回り、さらに防御シールドも万全と、魔力量の
『主、残存の敵は、穴へと逃げていくぞ』
「見えてる。逃げられると思ってるのかねぇ」
タイラント・ヘビーアタッカーを上昇させ、地下世界へ通じていると思われる大穴の真上に到着。
下には降下していく敵クルーザーやフリゲートと、わずかな数の魔人機……。
「輸送船などはないから、捕虜はいないだろう」
『であるなら、当然』
「
両のマギアブラスターを大穴に向けて、発射! 残存する敵影は、膨大な魔力の輝き飲み込まれ、一挙に
『敵残存機、および艦艇の反応なし』
「じゃあ、後はあの穴を塞いでおしまいだな」
俺はタイラントをガンファルコンと分離させる。機体をそのまま地上に降下させ、魔法によって穴を
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