第1098話、突撃! 土佐級戦艦!
大帝国第四艦隊が通過した後方へ、俺とベルさんの乗るレイヴン偵察戦闘機が回り込んだ。
視界にあるのは、戦艦25、重巡25、小型フリゲート40。中心を戦艦と重巡の複数の縦隊、外周をフリゲートが護衛についている配置だ。
ベルさんが操縦するレイヴン偵察戦闘機が、空中で静止する。浮遊石を搭載しているレイヴン機はエンジンを噴かさなくても空中に滞空することができるのだ。
俺は、コクピットから外――何もない空間に巨大なポータルの魔法を使った。青い空を背景に、青白く輝く大きな魔法のリングが出現する。
「展開完了。突撃コード、送信……っと」
俺は、コンソールを操作し、所定の暗号電文を発信した。ポータルの向こうで、攻撃の時を待っている突撃部隊に報せる。
監視ポッドの中継を受けて、遠方にて待機している突撃部隊に暗号が――届いた!
次の瞬間、ポータルから鋭角的な艦首が飛び出し、続いて巨艦がその偉容を現した。
スーパードレッドノート級戦艦が単縦陣で飛び出す。全長275メートル、40.6センチ連装プラズマカノンを16基も搭載した
旗艦『土佐』を先頭に『
その四隻の戦艦のあと、旧魔法文明戦艦インスィー級を改装した
浮遊島遺跡から回収し、改装された生駒級で今回現れたのは『生駒』『
その後に、こちらも旧魔法文明のヘビークルーザーを改装した
コサンタ級の特徴的な側面シールドを取り除き、20.3センチヘビープラズマカノンを増設した攻撃型重巡に改装された妙高級は、『妙高』を先頭に『
これら合計十隻の突撃部隊は、大帝国第四艦隊の後方に現れ、猛烈な速度で追い上げていった。
「さあて、上手くいったらお慰み」
俺とベルさんが見守る中、突撃戦艦4、巡洋戦艦2、重巡洋艦4は戦隊ごとに分散し、突撃を
前方に全砲門を指向させた土佐級の40.6センチ砲が、青い光線のようなプラズマ弾を立て続けに放った。後部主砲を前方に向けられるスライド砲塔の結果、4隻、128本の光が、大帝国のインスィー級戦艦の艦列に吸い込まれた。
縦列で進んでいた10隻のインスィー級戦艦が、艦尾から串刺しにされるが如く撃ち抜かれて、数秒と絶たずに轟沈した。
『うへぇ! えげつねえ、火力だ』
ベルさんがそう口走った。
「インスィー級の装甲と防御障壁じゃあ、土佐級の40.6センチ砲を防ぎ切れないからな」
後ろのエンジンノズルあたりだと、頼りは障壁のみになる。そこを容易に貫通する砲撃が集中すれば、溶けるように爆発するのは当然と言える。
大帝国艦隊も慌ただしくなる。
しかし、土佐級突撃戦艦は次なる戦艦群に突撃を始めている。
また生駒級巡洋戦艦は30.5センチプラズマカノンを、妙高級重巡は20.3センチヘビープラズマカノンを、敵巡洋艦へと立て続けに放った。
インスィー級戦艦を
「上手くいってる。間違いない」
俺は自然と笑みが浮かんだ。
通過して安全と思っている場所から、転移奇襲をかけたウィリディス第二艦隊突撃部隊。その嵐のような攻撃は、大帝国第四艦隊に、さらなる出血を与えていった。
・ ・ ・
『リムネ姉、そろそろかな?』
レイヴン偵察戦闘機二番機を操縦するフラウラはキャノピーごしに、下方の大帝国艦隊を見下ろしていた。
魔法文明時代の空母をそのまま利用しているディグラードル大帝国。コンカス級空母10、護衛のミラール級フリゲートが20隻、その視野に収まる。
『何だか、新生アポリト軍を見ているみたい』
『空中哨戒は、三個小隊』
後席のリムネ・ベティオンは、索敵装置に表示される敵戦闘機の位置と数を確認していた。
『こちらは気づかれていないわ。始めましょう』
『了解!』
『ポータルポッド、一番から四番、セット』
『いっくよっ!」
フラウラは、操縦桿を握り込み、積んできたポータル発生器の投下ボタンを押し込んだ。 レイヴン偵察戦闘機から切り離された四基のポッドは、そのリング部を展開させて、直径20メートルほどのポータルを開いた。
リムネは素早くポータル展開の暗号電文を発信。すると、待機していた第三艦隊航空隊が、四つのポータルから次々に飛び出した。
・ ・ ・
大帝国第四艦隊・第二群空母戦隊所属、コンカス級空母『ロートグ』――
「魔力源の出現を探知!」
魔力レーダー士官の声が艦橋に響き、『ロートグ』艦長を目を丸くした。
「魔力源だと?」
「未確認飛行体、出現! たっ、多数!」
レーダー士官の声が上ずった。
「本艦上方っ、急降下!」
「何だと!?」
キャプテンシートから艦長が立ち上がったその時だった。
未確認飛行体――飛来したウィリディス航空機隊から、対艦ミサイルが矢継ぎ早に発射された。
「防御
振動が艦橋を、艦全体を襲った。爆発音が連続し、衝撃で青エルフ乗員らが投げ出され、または叩きつけられた。
無数の三角で構成されたシルエットを持つコンカス級空母。飛行甲板が吹き飛ばされ、船体内部の格納庫にも後続のミサイルが飛び込んで、火だるまとなる。
完全なる奇襲だった。
空にあって空母群を守る戦闘機隊の対応も間に合わない、超速攻だった。
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