第13話
前回の作品が雑誌に載ってから半年が経ち、次作の物語を執筆しているある日、担当から貰った雑誌を手にして、気分転換を図る。
執筆している間は、時事問題や流行に疎くなる為、たまに担当が気を聞かせてやってきてくれる。そこでも新しい情報を収集する。コーヒーを淹れ、新しい物語の続きをどんな風にしようか考えながら、テレビをつけた。
終了間際のスポーツコーナーを見て、エンタメ情報へと移った。
何気なく見ていると、あの人気俳優の赤羽賢人が出演していた。
あの日以来なぜかやたらと目にし、どこか気になる存在となっていた。
どんな事を話すのだろうと、集中して聞くことにした。
「早速ですが、今回は赤羽さんの小説家デビューについてお話を聞かせて貰いたいのですが、初めての執筆で難しい所、役者とは違う部分ってありましたか?」
「そうですね。難しい所は全部ですね。物語の展開や、言葉選び、初めて尽くしでいい経験でした。役者は決められたセリフを演じるのに対して、0から作っていかないといけないのでそこは苦しみましたね。」
半分真面目に、半分冗談交じりで答えていく。
「ここが読みどころみたいな部分はありますか?」
「詳しい内容は言えないですけど、皆さんの想像力が大事ですね。詩に近いというか、いやでもちゃんとストーリーはあるか・・・。まぁとにかく読んでください。読めば分かります。ジャンルは皆さんにお任せします。」
終始笑顔で答えていき、中身のない答えでも嫌な感じが全然伝わってこない。これが人気の理由なのか、と山寺は分析していく。
「なるほど。では番組をご覧の皆様にメッセージをお願いします。」
「えー、皆さん赤羽です。今回初めて小説を書きました。僕の頭の中を少しでも覗いて貰えたら嬉しいです。発売は今日のお昼12:00です。書店でしか買えませんが、お試しで良ければネットでも読めます。ぜひ、一人でも多くの方に届けばいいなと思います。よろしくお願いします。」
「今日ですか!?」
MCは驚きを隠せず聞き返した。
「はい。今日です。サプライズです。」
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