第7話

昨日のお酒が体から抜けず、体が普段より重い。

でも、お酒を飲む人の気持ちが少しわかった。

朝の習慣的動作を行い、仕事場へと車を走らせる。

単調で同じような仕事を手際よくこなしていく。

家に帰れば、見ないテレビをつけてダラダラと過ごす。

そんな繰り返し。

今日は会社の決まりでノー残業デーという事で早めに帰れたので、脱衣場に溜まった洗濯物と対峙する。

色物、柄物を仕分けし、少し気を使いながら行っていく。

ズボン、シャツ、タオル、その他諸々。

しばらくそんな作業を行いながら、最後の一枚に衣類に手を伸ばす。

「ん?」

不思議に思い、洗濯カゴに目を向けた。

しばらく、カゴを見つめこの感情はなんだろうと状況を冷静に把握し、

整理し、解決へと導いていく。

数分考えて一つの仮定を立てた。

時計を確認すると、その仮定は確信に変わった。

針の進みは遅く、いつもの半分の時間で終わらす事が出来た。

「あっそうか。」

初穂は、問題が解決した安堵感と同時に、忘れたい記憶を思い出すきっかけを生んだ。

分別された衣類を見て、今まであった彼の衣類がないことに気付き、改めて

「もうここにいないんだ。本当に別れたんだ。」

という思いが湧き上がる。

そんなすぐに忘れられるわけはない。

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