第7話 派遣社員の日常
バリリリリ バリバリ バリ
「・・・五月蝿い」
ガシャ ガ ガガガ ガゴン ガチャン
「。。。ウルサイ」
ガ ガチャコン ドッガン ガン ガチャ
「あぁーうっさい!!」
部品のネジを締める作業台に向かい、男が1人喚いていた。
悪態をつきながらも、手を休めずにひたすらネジを締めては部品をコンベアに戻し、また締めては戻しを延々と繰り返していた。
今日何度目かわからない溜息をつき、5分に1回は悪態をつき、
めんどくさそうな、やる気のなさそうな、無気力そうな、
そんな言葉すべてが当てはまりそうになるほどの態度で、それでも男はネジを締める。
8時間この作業を耐えれば今日もこの苦痛から開放される。
・・・
あと4時間。
作業をやりながら時計をチラチラ見てもまったく秒針が進んでくれない。
時計がぶっ壊れてんじゃねーか?と思うほどだ。
時計の針にイライラして、作業を止めて休もうとすると、すぐ隣で同じような作業をしている大河が指摘してくる。
「秋~サボるなよ~。コンベア止めたらまた怒られるぞー」
すごい嫌な顔をして振り向く。
真面目ちゃんめ。
「ちょっとくらいいいじゃねぇかよ、こんなガチャコンガチャコンやってたら
ガチャコンノイローゼになっちまうよ」
そう言ってネジを大河に渡す。
「俺だってだるいけどやってんだろー。なにしれっとネジこっちによこしてんだよ。自分で締めろ」
ネジを返された。
っち、真面目ちゃんめ。。。
ダラダラしながら、悪態をつきながら、それでも作業を再開する。
俺は派遣社員。
この工場に来て4年になる。
給料は上がらない、待遇は良くない、ずっと同じ作業の繰り返し。
派遣なんてそんなもん。
それでもだるい人間関係とかないし、責任もない。
ただただ毎日この8時間という拘束時間が過ぎ去るのを待つだけ。
ずっと変わらない仕事にいい加減うんざりしているけど、
今更仕事を変えるのもめんどくさいし、
なんだかんだ自分で決めて入ったから仕方ない。
どうやってこの暇な日常を乗り切るか。
どうやって今日を乗り切るか。
雪村秋にとってはそれが重要だ。
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