ヒノコムの世界 5-2

ムノは言った。

「神様に会わせてあげる」と。

笑いかける顔のどこかに憂いを帯びるこの人が神様?

「私ね、ずっとヒノコムにいるの」

語尾に自嘲げな笑いをつけた。

 ヒノコムは眠りについた夢の世界。

夢の世界。

夢の世界にずっといる。

「あっ…」の後が続かない少女に対して「私は死者じゃないよ」と神様は答えた。

「そもそも私は神様なんてだいそれた身分じゃないし」

屈託のない笑顔が打ち砕けた雰囲気をつくる。

「ただ、ちょっとだけ自由になりたかったの」

窓の方を向いて眩しくないのだろか?

と、疑問はあるが。

そもそもとして少女は思う。

これは踏み込んでいい話題なのか。

「あの、どうして私なんですか?」

小さく傾げた首はゆっくりゆっくりと戻り「あの子たちが決めたの」

不思議な人だ。朋ちゃんとは方向性が似た所がある。

だからつい心を許してしまった。

「私、友達にどうしても聞きたいことがあるんです!」

突然の獣の咆哮でも神様はやんわりと受け止めた。

「大切な友達だからこそ聞くべきよ」

初対面のこの人はどうして私を的確に導いてくるのだろうか?

「私も引っ込み思案なの。でも、あなたならまるで家族みたいに話せちゃう不思議」

私もだ。どうしてだろう?と考えている内に世界は暗くなっていく。

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