中学三年生の日々 2-2
キーンコーンカーンコーン。
消え行くチャイムの残響。
枕代わりにしていた腕の痺れ。
お腹にこもる熱。
「…あれ…?どこ…?」
瞼が圧迫されてぼやける視界。
耳に入る笑い声。
「寝坊助や」
呆れ半分と笑い半分とのレディ。
「えぇ〜?学校だよぉ?」
嬉しそうな朋ちゃんと立ち並んで目隠しになっている。
穴があれば入りたい恥ずかしさが薄れていく。
私の世界はこれなんだ。
家族とレディと朋ちゃん。
以上にて完結。
見栄えを考慮し、A4用紙の真ん中に書き出しても二行で済んでしまうのが、私の世界の構成。
きっと、いつまでも、こうして、いられる、はず。
「竹内やから助かったな。女子には優しいからな。女子にはな」
ははっ。と擬音のついた乾いた笑いが後を追ってきた。
血液が消化に向かうから、頭が重みを失って軽く浮き上がりだす給食後の授業。
眠たくて仕方ない。
「ね〜。凄かったんだからぁ。みんな見てたよぉ」
みんなが指す言葉はどれか?
まだぼやけている頭だけどクラスの男の子と目があってしまった。
かぁっ!という漫画のオノマトペがそのまま頭の中で響いた。
「まあ、凄かったよな」
「正直凄かった」
クラス中を伝染していく話題が私なんて!
いや!恥ずかしい!
自分がクラスの中心なんて無かったから余計に!
「そんなに凄かったの?」
皆が一斉に首を縦に振った。
恥ずかしい!でも、初めてレディと朋ちゃん以外のクラスメイトと話せたのが嬉しい。
まだ休み時間だ。
顔の火照りをトイレで一人冷まそうと席を立つ。
数歩歩いて足を引っ掛けて転んだ。
転んだ場所にはぽっかりと小さな穴が空いていた。
なんだろう?教室にこんな穴があったら危ないから埋められて当然なのにぽっかり空いている。
「あ〜、これぇ?これはねぇ、小さくなっちゃたけどぉ、朋ちゃんがあったら入りたいと思っていた穴だよぉ?」
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