中学三年生の日々
各教科に一冊づつ使うキャンパスノートも半分が埋まってきた。
意識しなくても耳に入ってくる誰彼の色恋の話題と全く無関係な日々も気付けば一ヶ月。
朋ちゃんが平穏無事に登校しているのが本当に嬉しい。
レディも先生からの髪型や服装の注意も馬耳東風といった様子でうわの空。
なんなら舌出してるし。
三人一緒で給食を食べられる幸せ。
ずっと続いて欲しい。
「ねえ、レディもヒノコムやってるんだよね?」
「あぁ、まあな」
おかずの唐揚げをひとつ口に運ぶ。
「なあ、唐揚げ旨いか?」
噛めばしっとりと柔らかく肉の旨味に加わる醤油の香り。
「美味しいに決まってるでしょ。肉料理の王様だよ」
といって、気を逸した隙におかずを強奪されるのが、私と姉達の日常風景。
身に染み付いた習慣で、相手がレディでも警戒してしまう。
「ねえ、朋ちゃんはヒノコムやってないの?」
「え?なにそれぇ?」
そもそも知らないとは。朋ちゃんらしい回答だ。
自分だけで世界が完結している。
「ほら、今話題のさ、皆で夢を見るやつ」
「夢ならな皆もみてるでしょお?」
「そうじゃなくてね。アプリでね」
「おやすみなさぁい」
本当に掴み所がない。
いつか取っ手をつけてしまいたい。
「最近忙しくてやってへんかったわ。ほな、今日やるか?」
勿論やりたい。ミレイさんと会ったのを最後にログインしてないんだ。
うまくこの気持ちを言い表せないけど、ミレイさんともし、また会ったらどうしようかなと。
話し上手のレディが一緒なら心強い。
今夜こそ、ヒノコムを楽しむんだ。
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