朋ちゃん 2

一緒にテスト勉強と言っても学力では月とすっぽん

朋ちゃんがみやびな満月。私は川底で足を滑らせて溺れる鼈と言ったところ。慌てふためいて岩に打ちつけられながら何処まで流されると知らない。

 朋ちゃんは出鱈目に頭が良い。

解らない所を聴けは間違いなく的確な説明を受けられる。

学習塾の講師を独り占めしているようだ。塾に通っている訳じゃないから、あくまでもこんな感じかな?の妄想だけど。

 あーあ、どうしてこんなに頭の出来が違うんだろう?

神様は何がしたくて私と朋ちゃんに明確な差をつけたんだろう?

あーあ、やだやだなぁ。

テストの度に思い知らされるんだから。

 その点、レディは私と似た者同士なんだよなぁ。

でも、レディは本人の言葉を借りるならビューティフォーだしなぁ。

「今村京香君、指を動かしたまえぇ」

書き取りのノートを前にして頬杖をついていると、朋ちゃんが反対の頬をシャープペンシルのノックボタンを押し込んできた。

「指を動かしても頭がついてこないよお」

自分で書いた物なのに、つるんと文字が滑ってすってんてん。

 脳内スケートリンクでは現在、スケートシューズを履いたペンギンたちが手を叩いて楽しくお喋り。

履く必要があるかどうかの審議は今は無しで。

どうやら世間話に花を咲かせているようです。

教科書をほっぽり出して私もそっちに混ざりたいよ。

「本日の営業は終了しましたぁ」

どうして私の浸っていた妄想を知っているんだよ朋ちゃんは。

「まぁ、長い付合いだしねぇ」

「まぁ、確かにねぇ」

そうそう、朋ちゃんとは小学校からの友達からだからレディに次いでになるんだ。

のほほんとした喋り方、苦手な人も居るかもしれないけど、私は全部引っ括めて朋ちゃんの事が友達として好き。

 ひとりじゃどうにも解けなかった数学の宿題も解説つきで教えてくれた。

これで宿題は終わったし、まあテストはどう足掻いてもいつも通りの結果だろうし。

 勉強会を終えて朋ちゃんの家を出ると、もう夕方だった。

楽しい時間はあっという間に過ぎて行くんだと実感した。

家に帰ったら御飯を食べて、一番にお風呂に入って、まともに楽しめなかったヒノコムの世界をリベンジしよう。

 あっ、朋ちゃんにヒノコムやってるかきくの忘れてた。

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