2 幼なじみとご飯食べよっ

「ハハハ、なんかおじさんみたいなこと言ってるね?てか、いつもは3人で食べてたじゃん?何、僕のこと忘れてたのん?」


飯を食いかけていた箸をわざわざ置いて、悠加は俺をジト目で見つめてきた。


「わざわざアニメキャラみたいな語尾使ってくるボクっ娘幼馴染なんて、知らないけどな。……キュウリやる。」


俺は弁当を半分ほど食い進めた所で、キュウリの山が隠されていることに気づき、そんな提案をする。


「バリバリに知ってるでしょ?てか前にいるでしょうが!!?あと、キュウリ食べなよ。おばさんがわざわざ増量してくてるんだから。」


俺のからかいに怒りながらも、オカンみたいなことを言ってくる悠加。


『僕がボクって言い始めたのは………』


そんな、言葉が聞こえたような気がしたけど、今の俺は山のようなキュウリの対処に忙しかった。


「嫌だ。キュウリだけはそれを食わなきゃ死ぬ場面でも食いたくない。どうだ、そのトマト食ってやるから、な?」


腐っても幼馴染、いつも飯を食べていることを忘れても、髪を切ったのに気づかなくても、嫌いな食べ物は知っているのだ。


悠加は昔っからミニトマトだけ、食えない。

大きいトマトは好物なくせして、サイズが小さくなると手でバツやって、意地でも食わないのだ。


「…………………。」


数秒の葛藤の後、スッと己のミニトマトを俺の米の方に移す悠加。


「取引成立だな。」


俺も遠慮なく、キュウリ達を彼女の弁当の空いてるところに輸送する。


「てか、自分で作ってんのになんで入れた?」


俺はお母様がお作りになっているので、嫌いなものが入っていてもある意味当然なのだが、悠加は自分で作ってるはずだ。

わざわざ嫌いなもん入れるなんて、ドMじゃあるまいし。


「……ママが、知らないうちに入れてたんだよ。」


そう、言いながらモシャモシャとキュウリを咀嚼する悠加。


「ププッ、お前んとこのママも大概だな」


俺はかきこみはしなかったが早めに終わったので、ごちそうさましながら片付けに入る。


因みに、俺はミニトマトが大好物だ。そして、悠加はキュウリが大好物。

これこそまさに、持ちつ持たれつ、WinWinの関係。


「ほんと、あの人ちゃっかりしてるんだから。」


「「アッハハハハ!」」


こうして、いつも通りの昼は過ぎていった。


☆今回の一言☆

ーー5限目ーー

中山)ヤベェ、めちゃクソ腹減った。死ぬ。

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