12 妹ちゃんと戯れよっ

「なぁなぁ、浴衣着たほうがいいか?」


スマホでネットニュースを流し見しながら尋ねる。


「何に?いつ?どこで?誰と?」


妹ちゃんからはそんな質問マシンガンが飛んできた。


「花火大会に、この後、街の神社前で、悠加と。」


俺は丁寧にその全てへと対応する。

これがホントの神対応。なんつってな!


「分からない。お兄ちゃんが着たいんなら着ればいいんじゃないかな。」


妹ちゃんもテレビをぼーっと見ながら言う。


「なるほ。じゃあ着ないわ。」


俺はありがとと再びネットサーフィンに戻った。今、いい波来てるんだぜ!


「………制服で行くの?」


妹がテレビから目線を離し、俺を見る。


「ん?まぁ。それ以外に着ていくもんねぇし。」


やっぱ制服って最高だよな。

たまに制服なくそうってやついるけど、俺は断固反対。

制服こそ至福であり、私服なのだ!!!ドヤァ


「…はぁ。悠加ちゃんも大変だよね。お兄ちゃん、こっち来て。」


妹がソファの上に座り、その真下をポンポンと叩く。


「おぉマイシスター。君の元なら喜んで。」


俺はスマホを放り投げてそのすっぽり収まるジャストサイズなスペースへ飛び込む。


「うん、気持ち悪いね。ほら、ここ座る。」


俺が寝転んでいるのを見て、妹ちゃんはそのボケを完全スルーした。


流石マイシスター。俺のことをよく分かってらっしゃる。


「ラジャッ!」


右手を額に当てて返事する。

気分は兵隊さんだ。


「じゃあ髪の毛からね。ちょっとまっててね。」


そう言い残し、彼女はリビングを出ていく。

その後、彼女の姿を見たものはいなかっ


「はい。おまたせしました。」


俺のエセ怖い話は、すぐに帰還した妹ちゃんに遮られた。


「今きたところだ。」


ならばと付き合いたてのカップル。待ち合わせバージョンをかます。


「はいはーい。じゃあ力抜いてね。」


妹は俺の髪の毛を触りながら、サラッと受け流した。


流石マイシスター、俺の扱いに慣れてやがるっ!!


「…………くすぐったいんだが。」


櫛をされるまではまだ耐えられたんだけど、ワックスでワチャワチャにされるのは流石にくすぐったいな。


「我慢してねぇ。」


のんびりとした口調で言いながら妹は、俺の前髪を曲げていく。


何だろう、俺の美しきストレートの黒髪が汚されるてる気分…。


まぁ実際には美しくされてるのだが。


「はい、出来た。次は服だねー。お兄ちゃんの部屋いこ。ほらほら。」


妹ちゃんはやけに乗り気で、俺の背中をグイグイと押す。


「イエス、マイシスター。」


俺たちは二階へと向かった。


「ここ?」


自室に入って、部屋の数少ない家具のタンスを指さしながら言う。


「おん。」


まぁ入ってんのはジャージがたくさんと制服と、あとなんか変な文字がプリントされたTシャツくらいだけど。


「うーん……。本当に制服しかまともなのないね。……今から買いに行くか。」


顎に指を当てて、頷く妹ちゃん。


「え?ナウから?」


そこまでしてまで、服を欲しくないんだが。


「そう。集合っていつ?」


でも、妹の中で買いに行くのは前提らしく、そう聞かれる。


「5時。」


「今は2時ちょいね。うん、1時間もあればいいね。」


腕時計をチラ見して言う妹。


すげぇなそんな一瞬で時間わかるんや。

俺なんて3時と13間違えて大遅刻したことあるのに。


「まぁ。逆に1時間もいる?」


俺ならカップラーメンといい勝負できるくらいに早く選べるぜ☆


「そうだねー。いっつも即決だもんね。じゃあ行こうか。」


そんなことは妹ちゃんには知れてるようで、さらっと受け流される。


「ラジャ!」

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