4 幼なじみの家にいこっ
「あ~~~~~〜〜!!!」
夏休み初日、俺はリビングで一人『あ~』ごっこをしていた。
正式な名前は分からないけど、皆一度はやったことあるであろうこの遊び。
高速回転する扇風機の前で、あ~~~~~とただひたすらに叫ぶ。
とてつもなくしょうもなく、それでいて何故か止められなくなる。
家に誰もいないのは、俺が小さな頃皆事故で……とかではなく、両親は土曜でもお仕事。姉は、大学生で一人暮らし、中学生の妹は初日から元気にサッカー。
このまま行けばインターハイだとか何だとか。お兄ちゃん、妹が楽しそうで何よりだよ。
お前、卓球どうしたと言われるかもしれないけど、残念。夏休み期間中は、バスケ部とかバレー部とかそういうメジャーな部活が練習試合をバンバンするので、卓球場は控室とか休憩場に使われるのだ。
だから、部活は無し。俺は夏休みを完璧に謳歌できるってことよ。
「夏休みさいこぉ!!!!!」
俺は半袖短パンで家の中を飛び跳ねながら、叫ぶ。
いつもだったら妹に白い目で見られるからやらないけど、夏休みだったらそんなことを気にしなくていい!!
あぁ、なんて素晴らしきかな、夏休み☆
「はぁはぁ……テレビでも見るか。」
運動部とは名ばかりで、そこまで動かない卓球部。そいつが暴れていたらそりゃ体力は尽きる。
俺は静かに、ソファに座ってお昼のワイドショーを眺め始めた。
◇ ◇ ◇
「…………暇だ。」
昼ごはんのそうめんを食べながら、俺は思う。
超暇、猛烈に暇、すんごい暇。ヤッバイくらいに暇。
暇すぎて死ぬなんて嘘だろ〜。暇とかサイコーじゃ〜ん。と思っていた何週間か前の俺、土下座しろ。
「しゃーない、遊びに行くか。」
俺は食い終わったお皿を台所において呟く。
思い立ったが吉日。歯磨いて、出掛けよ。
あくびを噛み殺しながら、俺は出かけの準備を始めた。
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