第3話

電話が何本か続き、ママがどうやら私をお勧めしているようだ。

「そうですよ、今日新人のせいこさんかわいい感じの40代の方!初めての出勤です」

私は、嫌なのと、お金が欲しいのと、入り混じって、正座していた足が痺れてるのもわからないくらいだった。

ママが、「せいこさーん。」って呼んだから「はい!」と返事をして、立とうと足を動かしたけど、痺れすぎてしばらくこたつに手をついて、動けなかった。

かなり緊張しているかもしれない、ほとんど緊張したことない私だったが、どうしていいか、わからないから、余計に緊張していた。

ママの隣に行くと、「ストッキングあげるから、履いて準備してね!お道具の説明するから、これが、イソジン、これがグリンス、これがローションね!コンドームも入ってるから、もし、あそこに、イボとか皮むけてないとか、包茎の人ね、そんな感じの人いたら、必ずゴム付けて、フェラするのよ。そのまま、したら病気感染ったり、バイ菌だらけだからね!このお客様は、常連さんだから、大丈夫だと思う、ねっ、ひとみちゃん?」

「えっ、誰ですか?」「田中さんよ。」「あっ、田中さんね、新人キラーの!大丈夫、大丈夫!せいこちゃん、頑張って!」

「はい。」

「ホテルはる・テラスっていう所、このホテルの地図あげるから、マンションを出て、信号渡って、ホテル街入ってすぐだから。地図わかる?」

「はい、多分わかります。じゃあ行ってきます。」

私は、急いでストッキングを履いた。

「あっ、靴も少しヒールがあるのがいいわね。これ履いていきなさい。部屋番号は、お客様から、電話きたら、電話するから。」

「ありがとうございます。行ってきます。」

私は、何が何だかわからないが、とにかく出発出来た。後は、ホテルに入るだけだ。

横断歩道を全く履いたことのない、黒いヒールの靴でカックン、コックン歩いていたと思う、多分ロボットみたいだと思う。

電話が、なったママが「る・テラス302です、よろしくね!」

「302ですね。」私は忘れないように繰り返した。



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