第2話
「みんな、おかあ少し寝るから、21時に起こしてね。」
「うん、わかった。」
目覚ましもしてるけど、起きられないから、いつも、子供達にも頼んでおく。
今日が、デリヘル初出勤だ。今更、怖さも、恥ずかしさも何もない。ただ、生活するお金がすぐに手に入る、お仕事だし、やれそうな感じがした。
飲み屋さんでも、良いのだけれど、私は全くお酒が嫌いなのだ。
どんなに、うるさくても、轟音のテレビの前でも寝られてしまう。
おかあのイビキがうるさいと怒られながら、小一時間深い眠りに入った。
「おかあ!時間。」「あっ、ありがと。」
私は、ちょっと寝ると回復出来るのか、スッキリ起きられる。その頃は、自分の服も買えなかったから、ボロボロのズボンで用意した。
「じゃあ、行ってくるね。」
「行ってらっしゃい。」
赤いボロのアルトで、立町の駐車場までの間考えた…、今日車を駐車場に入れて帰りに、駐車場代が払えるだろうか、そんな心配をしても、始まらなかったが、とにかくコインパーキングに入れて、ママに電話した。
ママは、マンションの場所まで電話で移動してくれて、私はエレベーターに乗って3階で降りた。
部屋に入って、「こんばんは。よろしくお願いします。」っと言うか言わないかの時、ママが「あんた、スカートないの?」
「はい、スカートないです。」「あら〜、あっ、この間辞めた美園ちゃんのロッカーに何かあったかも。あの子、もう来ないから。」ママは、そう言ってみそのとひらがなで書いてあるロッカーを、探って花柄のスカートを出した。
「これは?着てみて。」「はい、ありがとうございます。」
私は、白地に紫の小さい花柄の膝丈フレアースカートを履いてみた。
スカートなんて着たのは、何年振りだろうなんて考えながら。
「あっ、入るね。良かった!それ、あげるから。もっと、他にもあるかもしれないから、探しておくね!」「ありがとうございます。」
私はなんて、太っ腹なママなんだと思って、嬉しくなった!
しばらく、待機室で座ってお姉様方とテレビを見ていた。
お姉様方は、次々入れ替わり立ち替わり、お仕事に向かう。
私だけが、その座布団にくっついたみたいに、夜中までずっと座っていた。
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