第一章 第参話

非日常な事なんて私には一度も起きた事はなかったけれど、それは突然起きた。


ドアをあけたら広い地平線が真っ先にに目に飛びついてきた。 世界めいいっぱいにのばした糸みたいに幅広い地平線が広がっていたのだ。


コンクリートジャングルは文字通り跡形もなく消え去っり東京は人参の断面のような大地へと変わり果てていた。 石ころ一つも見当たらず、 ゲームのマップのようにただただ平らだった。ましてや遠くに見える山々なんかそれにしか見えない。

要塞にように立ち並ぶビルも、遠くにそびえ立つ東京タワーもない東京の景色。

「静か...」


私はポカリと開いた口で呟く。静かな東京に声が反響する。

私は消えた東京よりも静かな東京に私は衝撃を受けた。

心の奥で錆ついた好奇心が少しずつ元の姿を取り戻すのを感じる。こんなにも世界は静かだったのだ。太陽の光を受け大地の光沢が滑らかに光る。

私の反応は常人の反応ではない。それは自分でも自覚しているのだ。

私は左の階段を下りる。 そして、滑らかな地面に右足を置いた。

。。。

何も起きない。 大理石のような滑らかなただの大地だ。 左足も運ぶ。


安全を確認したとたん、私ははじける様に走り出した。


鞄を後ろに放り投げる。捨てられた鞄は心地よく地面を滑った。私はただがむしゃらに、まっすぐに走る。

私の顔の大きな笑顔に太陽の光がスポットライトの様に当たった。

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